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経済・企業挑戦者2022

いわば「卒業アルバムの働き方改革システム」です

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

古田貴也 エグゼック代表取締役社長

 人工知能(AI)で社会課題を解決するのがミッション。まずは学校の先生を支援する。

(聞き手=金山隆一・編集部)»»これまでの「挑戦者2022」はこちら

AIで卒業アルバムを作成

 写真サービスを主力とする会社です。力を入れているのは「アルバムスクラム」という卒業アルバムの作成を支援するシステムの提供です。全国で700校が使っています。近く1500校が使うようになると思います。

「アルバムスクラム」の児童・生徒の登場回数確認画面。先生が目視で確認していた作業をAIで効率化できる エグゼック提供
「アルバムスクラム」の児童・生徒の登場回数確認画面。先生が目視で確認していた作業をAIで効率化できる エグゼック提供

 アルバムスクラムはいわば「卒業アルバムの働き方改革システム」。直接のきっかけは、ある年の12月に卒業アルバムの印刷会社を訪ねた際、壁に張ってあるスケジュールが真っ赤のグラフを見たことでした。

 聞けば「12月は卒業アルバム作成の超繁忙期で身動きが取れない」と嘆いていました。卒業アルバムの写真はまず2万から3万枚を写真館が3000枚ほど選び、先生が約300枚に絞る。運動会、修学旅行など、シーンに分けて。写真館と先生には大変な作業です。これを人工知能(AI)で選定します。撮影した写真館、先生のアルバムにかける時間は大幅に減らせます。

 主力の一つは「フォトストア」というインターネット上で写真を販売するサービスです。全国の写真館やフリーカメラマンなど、学校行事の撮影をする人たちが使っています。100万人の利用者がいます。

 私は大学卒業後にシステム開発会社に就職し、大手企業のシステム開発を請け負いましたが、現場の人たちの声が聞けず、もっと手ごたえのある仕事がしたくて2005年に独立。06年に千葉の写真館の人と知り合い、この方が撮影した写真をフリーソフトでオンライン上にまとめ、写真を郵送で販売するサービスを立ち上げていました。

 そこで、このサービスをオンライン上で完結するシステムにして「フォトストア」というサービスを全国の写真館やフリーのカメラマンを対象に始めました。

 このビジネスを広げ、19年に「かお探!」という顔認識のAIを開発し、20年5月に卒業アルバムを作成する「アルバムスクラム」のサービスを始めました。全国の卒業アルバム50冊以上をサンプルとして独自のAIをつくり、卒業アルバムに適したAIエンジンをつくりました。

 顔認識のシステムは、本人と似ているかどうかの判断で細かい工夫をしています。利用する親御さん3万人にも意見を聞き、その数量データを写真館などに提供し、顧客からのコメントも伝えました。22年5月には修学旅行などシーンを選ぶ「アルバムシーンファインダー」もつくりました。

運動会は「全員載せる」

 日本の卒業アルバムのメインイベントは、運動会と修学旅行で、この二つのイベントで1冊に50カット程度しか掲載できない。しかし。この中に全員を載せるのは無理です。仮にページを倍にしても運動会の小さな顔を人力で確認して全員を載せるのは事実上不可能です。

 しかしAIを使えば実現可能で、生徒さんや親御さん全員に喜んでもらえる。そんな卒業アルバムの製作を広めていきたいです。

 卒業アルバムという文化は日本独自のものだそうですが、この文化を海外に移植できたらいいと思います。


企業概要

事業内容:人工知能(AI)を駆使したサービス提供企業。ITで世の中の困りごとを解決するのがミッション

本社所在地:東京都目黒区

設立:2006年5月

資本金:1000万円

従業員数:29人(22年8月現在)


 ■人物略歴

ふるた・たかなり

 1978年札幌市生まれ。2001年3月金沢工業大学工学部卒。同年K-BIT入社。05年1月にエグゼックを設立、06年5月に法人化。43歳。

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