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経済・企業挑戦者2022

自転車丸洗いビジネスを開拓

撮影 武市公孝
撮影 武市公孝

福井響 LAVAGGIO(ラバッジョ)代表取締役

 専用の洗剤を使って自転車を丸洗い。自転車のガラスコーティングも引き受けている。(聞き手=和田肇・編集部)>>これまでの「挑戦者2022」はこちら

1年で3000台洗車

 自転車の洗車とガラスコーティングの二つのサービスを提供しています。洗車はチェーンやギアなども含めて全部洗います。一般の人が自宅で油やごみが付着したチェーンやギアを洗ってもなかなかきれいになりませんし、そもそもマンションやアパートに住む人は洗う場所がないのがほとんどです。自転車を洗った後は、水分をエアで吹き飛ばし、きれいにふき取り、最後に注油をします。なのでさびませんし、逆に洗うことで自転車は長持ちします。細かい砂とか汚れが付いたままだと、チェーンやパーツ、ギアなどが削れて、最後は部品を交換しないといけなくなります。

 洗車は3500円から5000円以上まで三つのコースがあり、チェーンやギアなどへの注油も含まれています。自転車のガラスコーティングは2万9800円から11万5800円までの三つのコースがあります。修理やメンテナンスはやっていません。

 洗車をする自転車の種類は、クロスバイクやロードバイクなどのスポーツ自転車のほか、子乗せ自転車などの“ママチャリ”も多いです。お母さんたちは子供の送迎や買い物などで毎日自転車に乗っていますが、自分で磨いたりするのはなかなかできない。電動アシスト自転車でも洗車はできます。水に濡らしてはいけない部分に注意をしながら洗車します。

イタリアのプロチームで修業

7月にオープンした東京店。江戸川区葛西にある
7月にオープンした東京店。江戸川区葛西にある

 元々自転車が好きで、鹿屋体育大学の自転車競技部でメカニックをしていた大学3年の時に、イタリアのプロ自転車チームから、メカニックとして研修の誘いがありました。それで6年間、そのチームの専属メカニックとして、欧州や米国、アジアなど世界中を駆け巡りました。

 ただ、自分はメカニックを目指していたのではなく、自転車スポーツ、自転車の文化みたいなものが好きだったので、欧州の自転車文化を日本でも広めたいと思うようになり、帰国してこの店を開きました。店名の「ラバッジョ」は、イタリア語で「洗車場」の意味です。当時は世界と日本のどこにも自転車洗車専門の店などありませんでした。イタリアのチーム仲間からは「絶対にビジネスにならない」と言われましたが、やれると思っていました。

 メカニック経験者が自転車ショップを開業するのはよくあるパターンです。しかし、それでは自転車業界でライバル店がひとつ増えるだけ。自転車関係者が手をつなぐためには、どうしたらよいのか。それで自転車の洗車屋だと考えついたわけです。資金調達は日本政策金融公庫に何とか支援してもらいました。洗車サービスなので仕入れコストなど、あまり大きなお金を動かす必要がない非常にシンプルなビジネスモデルです。事業は順調で、2020年5月に大阪府豊中市で店を開業しましたが、最初の1年で約3000台の自転車を洗車し、ガラスコーティングも予想以上の需要がありました。それで22年7月に東京にも出店しました。

 ゆくゆくは、欧州で学んだことを生かして、自転車の安全とか普及とか、そうした活動にも取り組んでいければと考えています。


企業概要

事業内容:自転車の洗車、コーティング

本社所在地:大阪府豊中市

設立:2020年5月

資本金:200万円

従業員数:6人(2022年10月時点)


 ■人物略歴

ふくい・ひびき

 1993年大阪府生まれ。鹿屋体育大学自転車競技部在籍時の2013年に、イタリアの自転車プロチームNIPPOのメカニック研修生。大学卒業と同時に同チームの専属メカニックとして「ジロ・デ・イタリア」など世界の自転車レースに参加。日本代表チームのメカニックも経験。19年にチームを引退し、20年に大阪で自転車洗車の専門店「LAVAGGIO(ラバッジョ)」を開業。29歳。


週刊エコノミスト2022年11月15日号掲載

福井響 LAVAGGIO(ラバッジョ)代表取締役 自転車を洗うビジネス開拓

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