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2023年大学入試:今からでも出願できる253私立大 諦めるのはまだ早い私立大 後半入試はこれだけある!

「サンデー毎日2月19・26日合併号」表紙
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 私立大の合格発表が続いている。中には手応えが感じられず不安な受験生もいると思われるが、諦めるのはまだ早い。これから一般選抜の後半戦に向け、多くの受験生にとって第1志望になり得る大学が数多く残っている。

「選(え)り好みしなければ入れる大学はある」という、私立大全入時代の到来がささやかれている。実際、定員割れの大学は多く、日本私立学校振興・共済事業団の発表によると、2022年に定員割れしている私立大の割合は47・5%で、過去最高となっている。

 データが示す通り、私立大が入りやすくなっていることは間違いない。それでも難関・準難関大の一般選抜は、競争が残り続ける。

 23年度(23年4月入学)の私立大の一般選抜も、22年度に続き、難関大人気が堅調だ。大学入学共通テスト受験前に締め切る「事前出願」の共通テスト利用方式の志願者数を集計すると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は青山学院大を除き、関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は全ての大学が前年の志願者数を上回った。

 たとえ全入時代が到来しても、難関・準難関大を中心とした有名大学の倍率が極端に下がることはない。そろそろ私立大の一般選抜が折り返し地点を迎えるころだが、まだ合格大学がない、もしくは第1志望大学から合格通知が届かない受験生も多いことだろう。それでも、まだ逆転の道は残されているので安心してほしい。

 難関大の一般方式では、立命館大が再チャレンジ可能だ。同大の後期は2教科で受験できる。経営には、共通テストで一定の得点を取った受験生を対象に独自の記述試験のみで選抜する方式もある。首都圏では、明治学院大が英語と論述試験などを組み合わせた方式を行っている。

 一般方式でこれから出願できる難関大は少ないが、共通テスト利用方式なら、前出の立命館大を含め、中央大や明治大、関西大、関西学院大に出願できる。東京女子大や日本女子大などの難関女子大も門戸を開いている。

 もちろん、難関大の共通テスト利用方式の後期は一筋縄ではいかない。定員が少ない上、前期より高得点が求められるケースが多く厳しい入試となる。それでも、今春は共通テストの平均点が上がったことから、出願しやすい受験生が多いのではないか。

 準難関大なら、これから一般方式に出願できる大学が数多くある。54㌻からの「今からでも出願できる253私立大」には、日東駒専(日本大、東洋大、駒澤大、専修大)と産近甲龍(京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大)は全てある。このグループでは、22年度入試で近畿大の一般選抜の志願者が10万人超え。23年度も多くの志願者が集まっており、再チャレンジのニーズが高そうだ。

 東北学院大や愛知大、愛知学院大、広島修道大、徳島文理大、福岡大、立命館アジア太平洋大といった各地域の拠点大も出願可能。人気が高い系統を見ると、工科系では千葉工業大や工学院大、神奈川工科大、福井工業大、大阪工業大など。農学系では東京農業大や龍谷大・農、近畿大・農などにこれから出願できる。

 前出の立命館大同様、これから出願できる大学は、科目数が少ない大学が多くある。予備校関係者は言う。

「苦手科目があると、何度受けても同じ結果になりかねない。そんな受験生も、得意科目を生かせる少数科目入試なら合格の可能性が高まるでしょう」

 東北学院大や産業能率大、昭和女子大、東洋大、関東学院大、岐阜聖徳学園大、愛知学院大、京都産業大、京都橘大、龍谷大、神戸学院大など、2科目入試を行う大学は多い。

 1科目入試を行うのは聖学院大。D日程は英語と国語を受験した上で高得点の1科目で合否判定をする。追手門学院大の最終日程は英文を読解して日本語で論述する英語・国語総合力テスト。関西外国語大は英語1科目型で行う。

 前半とは異なる尺度 受験料の割引制度も

 少数科目入試で注意が必要なのは、科目数が減ることで入試の難易度が上がる可能性があること。

「得意科目が同じ受験生同士の選抜では、少しできる程度ではアドバンテージにならない。少数科目入試が必ずしもハードルが低いというわけではないのです」(予備校関係者)

 多様な学生の受け入れを目的の一つとして、面接や調査書の点数化など、前半とは別の尺度で選抜する大学もある。代々木ゼミナール教育総合研究所主幹研究員の坂口幸世氏は言う。

「一般的に前期で学力が足りなくて落ちた大学は、後期での逆転は難しい。しかし、調査書や課外活動を評価するなど、教科学力以外の主体性や意欲などを合否の基準にする方式なら、可能性がある受験生もいるでしょう」

 国際医療福祉大は、学科試験1科目と面接を課すことで、学力と意欲の両面を評価。聖心女子大は英語外部検定試験と小論文、大阪経済法科大の中期は、小論文のみで合否が決まる。

 後期まで入試を継続することで心配なのは、膨れ上がる受験料だが、併願することで受験料を割り引く大学は多くある。立正大は、1学科3万5000円のところ2学科目は1万円で3学科目は無料。亜細亜大や専修大、大正大、日本大、武蔵野大、京都産業大、京都橘大、神戸女学院大、武庫川女子大、広島工業大など数多くの大学が受験料割引を導入している。

 最後に後期を活用するポイントについて、代ゼミの坂口氏に聞いてみた。

「後期は募集人員が少なく高倍率になると思われがちだが、意外に低倍率のケースもある。前期で手続き率が悪いと、後期で多くの合格者を出します。そこがどこかは分かりませんが、幅広く受けることで意外な低倍率の学部(学科)が見つかる可能性があります」 低倍率の大学に当たるには、1度の受験で複数回の合否判定が受けられる全学部日程が有効だ。全学部日程は東京国際大や大東文化大、拓殖大、玉川大、立正大などが実施。全学部日程でなくても、近畿大のように、複数の学部を併願できる大学が数多くある。

 23年度入試はまだ終わっていない。望む結果が得られていないのなら、「今からでも出願できる253私立大」から、少しでも理想に近い進学先を探してみてはいかがだろうか。

 2月7日発売の「サンデー毎日2月19・26日合併号」には、「今からでも出願できる253私立大」の表を掲載しています。

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