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2023年大学入試:速報第2弾 私立一般選抜の減少の中、共通テスト利用は増 大学合格者高校別ランキング
私立大の一般選抜は、独自問題による選抜と大学入学共通テストの成績によるものに大別される。2月13日までに確定した2023年度入試(23年4月入学)の出願状況を見ると、難関大の共通テスト利用入試が好調だ。
共通テスト利用入試を行っている最難関大グループの上智大、東京理科大、早稲田大の同入試の合計志願者数は、前年比9%増。東京理科大は減少しているが、これまでの4教科型に3教科型を新設した上智大の増え幅が大きく、約4200人増だ。
集計した共通テスト利用入試の大半は、共通テスト受験前に出願を締め切る事前出願のもの。22年度の共通テストは平均点が大幅に下がった。にもかかわらず、持ち点が分からない状況で出願する事前出願は怖くなかったのだろうか。駿台予備学校進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。
「共通テストが難化して国公立大入試で苦労した先輩を見て、国公立大志望者が共通テスト利用入試を使って併願校を増やしたのでしょう。受験料が安く、多くは受験に行く必要がないため、共通テスト利用入試は国公立大志望者が利用しやすい。高い思考力が必要な共通テストを苦にする私立大専願者にとって、共通テスト利用入試が有利な方式でないことを、国公立大志望者層が分かってきたのかもしれません」
前出の大学以外の難関私立大の共通テスト利用入試の出願状況を見ると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は前年比4%増。法政大、明治大、立教大の増え幅が大きく、いずれも1000人以上増えている。関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は、MARCHの増加率を上回る21%。全大学が1000人以上増加しており、中でも立命館大と関西学院大は2500人前後と大幅増。
「国公立大志向が強い関西では、より確実に合格校を確保したいという思いが強く、関関同立の出願数を増やしたのでしょう」(予備校関係者)
難関大の共通テスト利用入試は、後期で募集する中央大、明治大、立命館大、関西大、関西学院大など事後出願の大学がある。23年度は共通テストの平均点が上がったこともあり、これらの大学の出願が増える可能性が高い。前期の時点で、前年の志願者を上回る準難関大は少ないが、難関大の前期で手応えが感じられない受験生が多くなると、準難関大の共通テスト利用入試の事後出願で志願者が増えることも考えられる。
私立大の一般選抜全体の志願者は、前年並みから減少しそうだ。それでも、コロナ禍にあって移動が不要なことに加え、国公立大志望者の動向もあり、共通テスト利用入試の志願者が増えると見られている。23年度は、難関・準難関大を中心に、共通テスト利用入試で苦戦する受験生が多かったのではないか。