週刊エコノミスト Online サンデー毎日
2023年大学入試・速報第3弾 少子化に加え「年内合格」増 一般選抜は志願者減が継続 大学合格者高校別ランキング・私立大総集編
2023年度(23年4月入学)の私立大入試も山場を越え、見えてきた志願状況が示すのは、今年も減少が続きそうだということ。受験生の人気が高い難関大も例外ではない。人気があるのに志願者が減少するのはなぜなのか。
私立大の一般選抜の志願者減は、23年度入試でも止まりそうもない。2月28日現在の主要100私立大の志願者数は前年を3%下回っており、4年連続の減少が確実視されているのだ。志願者減の背景について、駿台予備学校進学情報事業部長の石原賢一氏に聞いてみた。
「志願者減の一因は18歳人口の減少。さらに、コロナ禍の影響もあり、年内に合格大学を確保したい受験生が増加。大学も少子化で学生募集が厳しいことから年内入試で多くの合格者を出すので、一般選抜に出願する受験生が減少しているのです」
私立大全体の志願者が減少傾向の中、大学個別の出願状況はどうなっているのか。上の「私立大志願者数トップ20」を見ると、前年を上回っているのは、2位明治大、4位日本大、6位立命館大、9位中央大、10位龍谷大、13位同志社大、16位関西学院大の7大学。
志願者数は近大が10年連続トップ
ランキング最上位は近畿大。10年連続で1位の座を守りそうだが、志願者は現時点で5658人の減少。最終確定前の段階ではあるが、22年度入試で同大史上最多の15万7470人が集まった反動もあり、志願者減となりそうだ。
2位は、志願者数トップ20のうち、増加数が最も大きい明治大。同志社大と関西学院大といった関西の難関大も大きく増えている。駿台の石原氏は言う。
「これらの大学の志願者が増えているのは、受験生の難関大人気を物語ります。ただ、少子化により難関大も年々倍率が下がっていることから、受験生の併願校数は減少傾向。そのため難関大志向は強くても、全ての大学が増えるわけではなく、難関大の中で出願状況に濃淡が生じています」
難関大グループを見ると、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)は全体で1万352人減。明治大とともに前年の大幅な志願者減の反動と、法学部が東京都郊外の多摩キャンパス(八王子市)から、都心の茗荷谷キャンパス(文京区)に移転する効果で中央大も志願者増。減少しているのは、前年の大幅な志願者増を警戒した受験生の安全志向から9245人減となった3位の法政大のほか、11位の立教大と15位の青山学院大。
関関同立(関西大、関西学院大、同志社大、立命館大)は前出の同志社大と関西学院大の大幅増の影響もあり、7320人増となっている。今後、立命館大(6位)と関西大(8位)などの上積みがあることから、さらに志願者が増えることは確実だ。
日大が志願者回復
最難関の早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)は、ランク外の上智大(26位)の志願者が2万6552人で4049人増だが、4大学合計では2837人減。最も減っているのは12位の東京理科大で、5位の早稲田大も2964人減。早稲田大は、政治経済などで実施している大学入学共通テストと学部独自試験を組み合わせた方式を新規導入した教育で、国立型の方式が私立大専願層から敬遠されて1279人の大幅減となった。
「早稲田大は国立型の方式を導入して以降、実施学部の志願者が減少傾向ですが、質の高い学生が取れれば問題ないと考えていると思います」(駿台の石原氏)
慶應義塾大の志願者は3万7411人で、ランク外の21位。理工、医、薬の志願者は増えているが、文系学部が全て減ったことから全体で483人減となっている。
準難関大を見ると、4位の日本大は、22年度に志願者が4178人減となった反動もあり4334人増。対照的に、22年度に8440人増となった7位の東洋大は、反動から大幅な志願者減となっている。関西では10位の龍谷大が3873人の志願者増。
コロナ禍による年内入試の活発化と少子化に歩調を合わせた倍率ダウン、さらに純粋に受験生が減少していることにより、人気が高い難関・準難関大でも、一般選抜で全ての志願者が増えるという状況ではなく、一般的な大学はさらに厳しくなってきている。18歳人口の増加が見込めない中、この傾向が止まることはなさそうだ。