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2023年大学入試:速報第4弾 東大・京大「国公立大前期」大学合格者高校別ランキング 東大は女子「合格率」過去最高 京大は近畿外の合格者が増加

「サンデー毎日3月26日増大号」表紙
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 東大「首位」は42年連続で開成

 東大の一般選抜の合格者が3月10日に発表された。東大によると、2023年度(23年4月入学)前期日程の合格者数は2997人。そのうち女子は653人、合格者全体に占める割合は21.8%で、東大の一般選抜としては過去最高になった。

 合格発表当日の会見で藤垣裕子理事・副学長(入試担当)は「22年に出した『東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言』を通して藤井輝夫総長のメッセージが届いていること。さらに、広報活動や安価で安全なマンションの斡旋(あっせん)などの女子学生支援が奏功し、優秀な女子受験生が多く出願した結果」と話した。

 東大が目指す女子学生3割の目標にはまだ遠い。しかし、これまでの最高は21年度の20.0%で「2割の壁」は名実ともに初めて乗り越えたことになる。

 藤垣氏が言う23年度入試の女子の優秀さは、志願者数と合格者数を比較するとよく分かる。東大全体の志願者は、前年を201人下回る9306人で女子も26人減少したが、女子の合格者は前年を60人上回っているのだ。駿台予備学校進学情報事業部長の石原賢一氏は言う。

「高い思考力が求められる大学入学共通テストは、物事を深く考えることが得意な女子に向いている。優秀な女子が共通テストで高得点を取れていることが、合格者が増えた一因ではないでしょうか」

 東大が目指す学生の多様化のもう一つの課題が、合格者の関東一極集中の改善だ。この点においても、23年度は変化が見られた。合格者に占める東京と関東を合わせた学校出身者の割合が、22年度の60.3%から57.5%に下がっている。駿台の石原氏は言う。

「コロナ禍の影響が薄らぎ、受験生の移動が活発になった影響でしょう。地方の優秀な受験生に、関東の受験生が押し出されたのだと思います」

 暫定の合格者数ランキングを見ると、1位は42年連続の開成だが、前年を47人下回っている。2位の灘も合格者が6人減。3位の麻布が14人増で前年の9位から順位を上げる一方、聖光学院は13人減となった。以下、5位の渋谷教育学園幕張、6位の西大和学園など、私立中高一貫校が上位を占めるのは例年通りの傾向だ。

 女子の合格者が増えている状況は、女子校の合格者増から実感できる。7位の桜蔭は5人減だが、21位の豊島岡女子学園は14人から29人に倍増。29位の洗足学園や102位の浦和第一女子と吉祥女子、114位の頌栄女子学院など、合格者が増えている学校が多い。

 また地域に注目すると、合格者に対する占有率が昨年の2.6%から4.0%と上がり幅がもっとも大きかった北陸では、24位の富山中部が13人増、28位の金沢泉丘が8人増、69位の富山が7人増などとなっている。

 京大「トップ」は6年連続で北野

 志願者が減少した東大と対照的に、京大の志願者は前年を257人上回る7827人。志願者は2年連続の増加と人気が高い。

 その京大ランキングの1位は北野。18年度に1984年度以来の京大合格者数ランキング1位に返り咲いて以来、6年連続でトップをキープしている。2位が洛南で3位は東大寺学園。ベスト3の学校は全て現時点の合格者が昨年の最終合格者数を下回っている。一方、4位の堀川は14人増で昨年の8位から、5位の大阪星光学院は29人増で昨年の19位からそれぞれ順位を上げている。

 ベスト10を一貫校が占める東大に対して、京大のベスト10には北野、堀川、天王寺(6位)、膳所(8位)が入り、3年制の公立校が健闘している。京大は東大に比べると、一般選抜合格者に対する女子比率は、早くから2割を超えている。その背景には、共学の公立校からの合格者が多いことがある。

 京大の合格状況にも東大同様に、コロナ禍の影響の弱まりを感じる動きが見られ、14位の岡崎と明和、18位の金沢泉丘、26位の一宮、32位の札幌南など、近畿圏以外の学校で合格者が増える傾向が見られた。

 以上、23年度の東大と京大の一般選抜の概況を見てきた。詳細な合格状況の特徴については、次号でお届けする。

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