週刊エコノミスト Online サンデー毎日
2023年大学入試・速報第5弾 早稲田・慶應 大学合格者高校別ランキング 早稲田は「渋幕」がトップに 慶應は10年連続で開成首位
近年、私立大の一般選抜の倍率は下降傾向にある。早慶も例外ではなく、2023年度入試(23年4月入学)も倍率低下が進んだ。多少門戸が広くなっても、最難関に違いない早慶に強い学校はどこなのか、検証した。
私立大最難関、早慶の一般選抜の合格者が発表された。気になる高校別の合格者数ランキングを見る前に、まずは、23年度の入試状況について、河合塾教育情報部長の亀井俊輔氏に聞いてみた。
「一般選抜の志願者が減少している上、正規合格者は増えているため、全体の倍率は前年よりダウン。特に文系学部の志願者が減少傾向で、慶應の文学部のように6年連続で減少し、17年度と比較して2割程度減っている学部もあります。早慶共に、倍率面からは入りやすくなったように見えます」
早慶の一般選抜の倍率(志願者数÷合格者数)を前年と比較してみよう。まず早稲田大は、志願者が前年を2964人下回る9万879人に対し、合格者は469人増の1万4547人で6.7倍から6.2倍。慶應義塾大も、志願者が483人減で3万7411人なのに対して、合格者は131人増の8591人となり、4.5倍から4.4倍に下がっている。
その早慶の「合格者数トップ10」を見ると、早稲田大でちょっとした異変が起きた。これまで、15年連続でトップだった開成が2位になったのだ。開成が前年同時期の合格者を47人下回ったのに対し、前年2位だった渋谷教育学園幕張は20人増となり、順位が入れ替わった。3位は46人増で10位から順位を大きく上げた横浜翠嵐で、以下、4位日比谷、5位聖光学院――。
慶應義塾大の1位は開成。合格者が21人減ったが、10年連続でトップをキープした。2位は7人増の横浜翠嵐、3位に渋谷教育学園幕張と浅野、5位には前年比31人増と、合格者の増え幅が最も大きい頌栄女子学院が入った。
主な学部の高校別合格者数ランキングを見ると、早稲田大の政治経済は1位開成、2位渋谷教育学園幕張、3位聖光学院、4位麻布、5位駒場東邦だった。
政経は、21年度から共通テストと学部独自試験を組み合わせた国立型の方式を実施したことで志願者が大幅減。早稲田大の志願者が10万人を割る一因となったほどだが、政経はトップ校からの合格者は増加傾向。現在の方式を導入する直前の20年度のベスト10のうち、減少しているのは2校のみだ。河合塾の亀井氏は言う。
「早稲田大の文系最難関学部の政経に多くの合格者を出す学校は、東大の合格者数ランキングの上位校と重なる。東大など難関国立大志望者は、早稲田大の国公立大型の入試を苦にしない。導入前に比べ私立大専願者の合格が減少する中で、増えているのでしょう」
早稲田大の他の学部を見ると、法は1位桜蔭、2位渋谷教育学園幕張、3位聖光学院、4位タイに日比谷と女子学院。桜蔭と女子学院という2校の女子校がランクイン。一方、基幹・先進・創造の3理工合計のランキングは、1位開成(90人)、2位横浜翠嵐(77人)、3位渋谷教育学園幕張(73人)、4位海城(61人)、5位筑波大付駒場(49人)と、共学校の横浜翠嵐と渋谷教育学園幕張が健闘した。
慶應義塾大は法のトップが前年と同じ頌栄女子学院で、2位が学芸大付と本郷。以下、4位攻玉社、5位は桜蔭と開成。経済は1位が開成で、以下、2位渋谷教育学園幕張、3位聖光学院、4位浅野、5位駒場東邦。理系学部では、理工は1位が開成で、以下、2位横浜翠嵐、3位浅野、4位聖光学院、5位が海城と栄光学園。医は1位桜蔭、2位開成、3位駒場東邦、4位タイに筑波大付駒場、聖光学院、東海が入った。
「現役合格者数トップ10」を見ると、早稲田大は、総合格者数1位の渋谷教育学園幕張が現役でもトップ。2位聖光学院、3位日比谷、4位横浜翠嵐、5位豊島岡女子学園と続き、総合格者数2位の開成は9位。慶應義塾大は、頌栄女子学院が現役合格者数と合格率ともにトップとなり、2位に開成と横浜翠嵐、4位に聖光学院、5位に浅野がランクインした。
ここまで大学全体及び、学部、現役の各ランキングについて、上位の学校を中心に見てきた。詳細については、早慶の高校別合格者数ランキングで確認してほしい。