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2023年大学入試:速報第8弾 難関国立大「現役合格率」トップ30 筑波大付駒場、灘、札幌北、聖光学院、久留米大付設… 上位は中高一貫校、公立校も「健闘」
難関国立大「現役合格率」がここ10年で伸びた学校は?
合格者が数人いれば進学校と評価される難関国立大に、多くの生徒が現役合格する学校がある。まずは中高一貫校が思い浮かぶが、地方の公立校も健闘している。その顔ぶれを2023年度入試(23年4月入学)で見ていこう。
難関大の現役合格者数は、進学校の実力を測る有効な指標。ただ、合格者が多くても卒業生に占める割合が低ければ、期待して入学しても、現役合格の可能性は低いということになる。そこで、入学できれば難関大合格の可能性が高い学校をランキングしたのが「難関9国立大 現役合格者占有率ベスト30」。国立大に限定したのは、学内併願が可能な私立大に対し、原則として1人当たりの合格校が1校なので、実態に近い占有率になるからだ。
ランキング1位の筑波大付駒場は、難関大占有率53・1%のうち東大だけで45・6%に達する。2位は、東大と京大合格者が中心の灘で占有率は52・3%。この2校は長らく50%前後の占有率が続いており、毎年、卒業生の2人に1人が難関国立大に進学していることになる。安田教育研究所の安田理代表は言う。
「この2校は特別。自ら本をよく読むなど、自然と学力が身についている『地頭』のいい生徒が多いから、最難関大に半数の生徒が現役合格できるのでしょう。普通の学校の生徒が100の努力をして合格するところを、30から40の力で突破できる学力を持っている生徒が多いのでしょう」
ランキングの上位は、中高一貫校で占められている。難関大に現役で合格するには、先取り学習を進め、高校3年時を受験対策に充てられる優位性は揺るがないということだ。ちなみに、東大合格者数ランキングで42年連続トップが続く開成は、卒業生が多いことに加え、東大と京大、一橋大のみの集計値のため、15位と低い順位になっている。
ランキング上位の中高一貫校の中には、9大学の中でも最難関の東大への集中が進んでいる学校がある。4位の聖光学院は東大が13年度に比べると21人増える一方、東京工業大が11人減り、一橋大も7人減。6位の駒場東邦は東大が13人増に対し、東京工業大は7人減。10位の桜蔭も東大が11人増に対し、一橋大は7人減だ。安田氏は言う。
「東京工業大や一橋大から東大への集中が進んでいる学校は、模試で東大の高い合格判定値が出る生徒の増加と連動して、東大志望者が増えているのでしょう」
公立で最上位は、この10年で難関大占有率が16・2ポイント上がった3位の札幌北。卒業生が54人減っている影響もあるが、北海道大が20人と大きく増えているほか、大阪大6人増など、他地域の難関大の合格者も増えている。札幌北とともにベスト10に入った、数少ない公立校である8位の札幌南も合格者の最多は地元の北海道大だが、増え幅は7人とそれほど大きくない。一方、東大と大阪大が各8人増、京大5人増など、全国的に難関大の合格者が増えた結果、占有率が10・2ポイントアップした。
公立校の多くは、東大や京大以外の地元難関大の合格者が多いことによりランクインしているが、札幌南のように地元の大学の合格者を維持しつつ、東大や京大が増加することで占有率を上げている学校もある。21位の修猷館は地元の九州大の合格者は変わらないが、京大が11人増。22位の一宮は、名古屋大の合格者は減少しているが、東大と京大合計で14人増加している。
公立校の中でも、最難関の東大や京大の現役合格者が増えていることから占有率が上がっているのは、東大と京大合計で43人増となった12位の北野や、同じく31人増で13位の横浜翠嵐がある。
「私立一貫校並みに受験指導に力を入れる両校に対する保護者や生徒の期待感は高い。合格実績アップが優秀な生徒を呼ぶという、好循環が生まれているのでしょう」(塾関係者)
最も占有率が上がったのは、7・0%から26・1%と19・1ポイントアップした25位の都立の小石川中教。東大13人増、一橋大9人増など、10年間で難関9大学の現役合格者が29人増えた。
「スーパーサイエンスハイスクールに指定されていることや、私立一貫校と差のない教育体制への期待感から、難関私立一貫校を併願する生徒が増えた結果、合格実績が伸びています」(安田氏)
ランキングの大半の学校が、この10年間で現役占有率を上げている。その陰には下がっている学校もあるということだ。単純比較はできないが、現状の合格実績は「全国3435高校 有名183大学合格者数」で確かめてほしい。