ペット向けに手作りのごはん――岩橋洸太さん
バイオフィリア代表取締役CEO 岩橋洸太
おいしい手作りの食事でペットも飼い主も幸せな世界を作り上げる。(聞き手=永野原梨香・ライター)
ワンちゃん向けの手作りごはん「CoCo Gourmet(ココグルメ)」と、ネコちゃん向けの手作りごはん「Miao Gourmet(ミャオグルメ)」を手掛けています。ココグルメは「チキン&ベジタブル」「ポーク&ブロッコリー」など、ミャオグルメは「とりささみ」「まぐろ&タラ」などのメニューがあります。
大学教授、ペット管理栄養士、獣医師の3人に監修してもらい、業界団体の定めた総合栄養食基準にのっとり、新鮮な魚や肉、野菜を低温で加熱調理しています。一般的なドライタイプのペットフードとは違ったフレッシュなペットフードで、人も食べることができますよ。ネットで注文すると冷凍の状態で届くので、解凍してそのまま食べることが可能です。
企画から製造・販売、カスタマーサポートまで一社で手掛けているので、お客さまの声がじかに届きます。「ニンジンをもう少し小さくしてもらえないか」「内容量を少なくできないか」などの声から改善を重ねてきました。ココグルメは2019年の発売から8回、ミャオグルメは22年の発売から2回、リニューアルしています。乳酸菌を加えたり鶏むね肉をささみに変えたりもしました。
通信販売では、7日に1度から配送頻度を選べるココグルメの「定期便コース」で、1袋100グラムの「12袋入りコース」で4990円、「16袋入りコース」で5990円(いずれも送料別)。それぞれ、単品価格から20%割引きした設定にして、好きなメニューを選ぶことができます。また、ペットショップなど全国194店舗(10月3日現在)の店頭でも販売しています。
当初はネットでの販売のみでしたが、SNS(交流サイト)や口コミで広がり、年商20億円にまで成長できました。お客さまの声を生かして、お客さまと一緒に商品を作ってきたからだと思っています。
愛犬2頭の死がきっかけ
この事業を始めたきっかけは愛犬2頭の死でした。2頭とも肺の病気になり、最後の日は苦しそうに息をし、ご飯も食べられませんでした。私は見ているだけで何もしてあげられない。愛犬のために何ができただろうか。調べるうちに行きついたのは食べ物でした。ある統計では、飼い主が作るごはんと市販のペットフードで寿命を比較したところ、飼い主が作るごはんを食べていたほうが約3年も長生きしていました。
そこで、飼い主がごはんを作る代わりに、栄養バランスも良いごはんを作り届けようと決めました。ペットが健康に生きることができるし、飼い主も喜んでくれるのです。
9月末には、解凍が手間だったり、冷凍庫のスペースが足りないという飼い主にも手に取ってもらえるよう、ココグルメのレトルトタイプも発売しました。今後の目標は、ココグルメが当たり前にある世界を作ること。小売店舗への販路もさらに拡充して、ネット通販が難しい人にも買ってもらえる環境を整えたい。国内の後は海外です。まずは親日国の多い東南アジア、そしてペットフード市場10兆円規模のアメリカへと事業展開していきたいと思っています。
企業概要
事業内容:ペット関連事業、インターネットサービス事業
本社所在地:東京都目黒区
設立:2017年8月
資本金:9000万円(資本準備金を含む)
従業員数:38人(23年8月末時点)
週刊エコノミスト2023年10月24日号掲載
岩橋洸太 バイオフィリア代表取締役CEO 「ペット向けに手作りのごはん」