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2024年大学入試:国公立・私立235大学4大模試最新難易度 医療系編 薬学部は志望者が大幅減か

「サンデー毎日11月19日号」表紙
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 堅調な医学部医学科の人気

 コロナ禍で、医療従事者の仕事が注目されて高まった医療系学部人気は、コロナの収束とともに沈静化したようだ。薬学部など志望者が大きく減少する系統もでてきた。医療系学部の最新の志望状況について見ていこう。

 ワクチンや治療薬の開発など、コロナ禍で大きな注目を集めたのが薬学系。志願者も増加したが、コロナの収束と歩調を合わせるように志望者は減少傾向のようだ。2024年度入試(24年4月入学)の「系統別志望状況」を見ると、薬の指数は国公立大と私立大ともに、前年を100とした志望者指数で92。模試全体の受験者の指数が、国公立大が97で私立大が94と減っていることを勘案しても低い数値だ。

 薬学系には、主に薬の研究開発を目指す4年制の薬科学科と、薬剤師を目指す6年制の薬学科がある。コロナ禍で注目を集めたのは、難関大の薬学部を中心とした前者。その志望者が減少したことが志望者減の一因だ。さらに、歴史が浅い私立大の薬学部を中心に薬学科の人気も下がるという、二つの要因から志望者が減少している。駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一氏が、志望者減の理由について解説する。

「主に国公立大の薬学部は、薬科学科を中心としてコロナバブルの沈静化、薬剤師の養成がメインの中堅以下の私立大では元々、薬剤師国家試験の合格率の低さから志望者が減少していました。6年間高い学費をかけて学んだ結果、薬剤師の資格が取れないのでは元も子もありませんから」

 一般選抜全体として倍率ダウンが見込まれる薬学部志望者に対し、河合塾教育研究開発本部の主席研究員、近藤治氏は、こんなアドバイスをする。「国公立大と私立大ともに、薬学部志望者にはチャンスの年ですが、薬剤師の資格取得を目指す受験生、特に私立大志望者が注意したいのは、国家試験の合格率をきちんと見ること。入試で楽をするより、入試のハードルは高くても国家試験の合格率が高い大学を目指すべきです」

 24年度は、順天堂大が薬、国際医療福祉大が成田薬を新設する。両大学の国家試験の合格率は未知数ながら、母体となる医学部を中心とした医療系学部への信頼感から、多くの志望者が集まっている。2大学の新設は、首都圏など周辺の大学の倍率を下げることになるかもしれない。

 薬学部の志望者が減少する一方、医(医学科)は、国公立大99、私立大100と堅調な人気を維持している。東進ハイスクール広報部長の市村秀二氏は言う。

「難関の医学部を狙う受験生の多くは安易に志望変更をしません。年により志望状況の揺れはあり、多少倍率が下がったとしてもチャンスだとは言えません。そのうえで、前年に引き続き志望状況が堅調ということは、厳しい入試が続くということを意味します」

 医学部人気の底堅さは、科目負担増となる山梨大・医の後期の志望者増に見られる。24年度入試から2次試験に英語が加わり3教科入試になるが、志望者は増加している。もちろん、科目負担が軽くなるのは大歓迎で、2次試験から国語が無くなり3教科受験になる山形大・医の前期は志望者が増加。このように入試科目の変化や前年の出願状況に対する反動による志望者の増減はあるが、実際に受験生がどのように動くのかは大学入学共通テストの平均点次第、と話すのは、河合塾の近藤氏だ。

「国公立大医学部入試に関して、現時点の志望状況が大学選びの参考にはなりますが、医学部志望者は、共通テストの得点を見てダイナミックに『地域間移動』をします。自己採点をしっかりとして、最終的な出願先をセレクトしてほしいですね」

 歯学部は私立で減少 保健衛生も同じ傾向

 医学部と両にらみの受験生が少なくない歯は、私立大は志望指数が89と大幅減だが、国公立大は105と増加傾向。国公立大医学部の志望状況が堅調なこともあり、歯学部を視野に入れる医学部志望者が増えているようだ。ただ、模試では歯学部合格の可能性を探るだけで、実際に出願しない可能性があるため、指数通りに志願者が増えるのかは未知数だという。

 看護を含む保健衛生は国公立大が97と堅調に志望者が集まっている。駿台の石原氏は言う。

「国公立大の保健衛生は、就職の良さから地方を中心に人気があり、自宅から通える地元大学を志望する傾向が強いのだと思います。万が一資格が取得できなくても、介護などの職があることが、志望状況に表れています」

 比較的志望状況が堅調な国公立大にあって、北海道大・医の保健学科や新潟大・医の保健学科などの難関、準難関大は志願者が増えていないようだ。

 一方、私立大の保健衛生の指数は92と下がっている。ベネッセコーポレーション学校カンパニー教育情報センター長の谷本祐一郎氏は、このように話す。

「保健衛生は国公立大が前年並みですが、私立大は減少しています。特に私立大は、学部新設が続いて定員が増えていますし、総合型選抜や学校推薦型選抜を利用する受験生が多くなると、実際の入試では一般選抜の志願者は現在の志望状況から、さらに減少するかもしれません」

 既存の大学では昭和大・保健医療などの倍率が下がりそうだという。さらに、新設学部も数多くできるので、私立大の保健衛生は入り易くなりそうだ。

 医学部を除けば、志望者は前年並みから減少傾向の医療系学部。前年の倍率を上回る大学はそう多くなく、全体的に「波乱」の少ない入試が予想される。

 11月7日発売の「サンデー毎日11月19日号」には、「国公立・私立235大学4大模試最新難易度 医療系編」を掲載しています。

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