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2024年大学入試:難関の国公立大医学部入試 結果を出し続ける学校は? 医学部合格者高校別ランキング
大学入試速報・第9弾
東大や京大と並ぶ難関の国公立大医学部入試で高い合格実績を上げている学校はどこか。2024年度(24年4月入学)の合格状況をもとに、合格者総数と現役合格者占有率の両面から、医学部に強い学校を見ていく。
コロナ禍で志願者数が回復した医学部人気は今春も継続。駿台予備学校入試情報室長の城田高士さんは、24年度の医学部の出願状況を振り返って、こう話す。
「医学部の志願者数は、国公立大が前年並み(2%減)で私立大は現時点で前年を15%程度上回っています。翌年に新課程入試を控えていることによる安全志向は見られず、医学部人気は根強いと言えます。ただ、私立大の志願者数増は併願数の増加が影響していると見られ、浪人をしたくないという心理も影響したようです」
安定した医学部の出願状況だが、大学別に見ると志願者数は動いている。特に国公立大は、受験生それぞれが有利な選抜条件を求めて出願先を選ぶ傾向が強く、24年度は奈良県立医科大で顕著だった。駿台の城田さんは言う。
「前期の2次試験が学科試験から小論文になり、志願者が前年の224人から57人に激減。志願者増の反動に加え、小論文を避けたいと考える受験生が多かったようです。22人の募集人員に対し合格者は12人で欠員補充試験がありました。国公立大医学部の一般枠での欠員募集は記憶にありません」
奈良県立医科大の入試変更にともない、近隣の三重大や和歌山県立医科大の志願者数が増えて倍率が上がっている。
志願者数が増減する大学がある中、難関国立大は堅調で、前期の志願者数は東北大が大幅に増え、名古屋大や大阪大、神戸大も増加。北海道大や東大、京大、九州大は前年並みだった。
次に国公立大の合格状況から医学部に強い学校を見ていこう。まず、国公立大医学部入試の難しさについて城田さんに聞いた。
「国公立大医学部は定員が少なく、倍率が高くなることが多いので、大学入学共通テストと2次試験ともに高得点が求められます。ケアレスミスで不合格となってしまう厳しい入試なのです」
そうした入試を多くの生徒がクリアしている学校をまとめたのが、「国公立大医学部医学科合格者数ランキング」。1位は17年連続の東海だ。高い医学部合格実績から、医学部志望者が多いこと。さらに、中部には医学部を持つ国公立大が多いこともあり、各大学の合格者数ランキングを見ると、名古屋大(31人)や名古屋市立大(13人)、岐阜大(8人)、三重大(6人)などとなっている。同様の要因から合格者が多いのは8位の滝で、主な合格者数は、名古屋市立大(11人)、岐阜大(10人)、名古屋大(7人)など。
2位の久留米大付設と3位のラ・サールは、九州の大学を中心に合格者数を積み上げている。久留米大付設は、九州大(22人)、佐賀大(14人)、熊本大(9人)、ラ・サールは、九州大(18人)、鹿児島大(11人)、熊本大(8人)などに多くの合格者がいる。
4位の灘は東大(12人)と京大(25人)といった最難関医学部に強く、総合格者(70人)の半数以上を占める。近畿は、中部以上に医学部を持つ大学が多いことから、灘以外にも洛南(5位)や東大寺学園(10位)、甲陽学院(14位)などがランクインしている。
中部や近畿と対照的に、首都圏には国公立大医学部が少ないこともあり、最上位は7位の開成。もっとも順位は高くないが、同校の東大合格者数は灘や桜蔭(10位)と並ぶ最多の12人で、千葉大(8人)や東京医科歯科大(7人)といった難関医学部にも強い。首都圏の学校では、9位の海城と桜蔭がトップ10に入っている。
前述の通りハードルが高い医学部入試では中高一貫校が強く、3年制の公立校で最上位は12位タイの札幌南と熊本だ。両校以外にも、ランキングには地元の国公立大医学部に強い、各地域のトップ公立校が入っている。
次に、「国公立大医学部医学科現役合格者占有率ランキング」を見ると、卒業生数の多寡に左右される合格者数ランキングとは異なる顔ぶれとなっている。
1位の北嶺は、合格者数ランキングでは22位と上位ではないが、卒業生の4人に1人が現役で医学部に合格している。同校の谷地田穣校長がその背景を語る。
「何が何でも医学部という指導はしていません。東大工学部長の講演やハーバード大への研修など、生徒の興味関心を引き出すさまざまな行事を通して視野が広がった結果、医学部を選択しているのです。研究や臨床など医師の仕事は分かりやすく、やりがいを感じられることが大きいのでしょう」
もちろん、卒業生に対する現役合格者占有率の高さは、医学部志向の生徒の期待に応える学校の指導力があればこそ。ランキングを見ると、久留米大付設も4人に1人が医学部に現役合格。ラ・サール、桜蔭、金沢大付など上位20校で、卒業生の10%以上が国公立大医学部に現役合格している。
ここまで見てきた医学部に強い学校のメンバーは、ほぼ固定化している。今後、割って入る学校が出てくることを期待したい。