週刊エコノミスト Online サンデー毎日
夏の疲れが和らぐ自家製飲料3選
食欲がない時には簡単ドリンクで栄養補給&疲労回復
▼「水分補給に甘い飲み物」は血糖値上昇を招き、逆効果!? ▼クエン酸の爽やかな酸味と香りで食欲増進 ▼きつい紫外線には抗酸化作用のある緑黄色野菜や果物のドリンクを
街を歩けば灼熱の猛暑、部屋に入れば冷房と体調を崩しがちな夏が続いている。こんな時には、簡単に作ることができて飲みやすいドリンクで体の調子を整えてみたい。
ペットボトル症候群にならないために
熱中症予防のためにドリンク類を携帯しているという人も多いと思うが、猛暑のスタートから話題になったのが、ペットボトル症候群。甘みの付いたドリンクを一気に大量に摂取することで急激な血糖値の上昇を招き、いわば急性の糖尿病を発症する状態だ。のどの渇き、水分補給には水、麦茶などのお茶類、ハーブで香りをつけたハーブウオーターなどで水分補給を。
カフェインを含むお茶類は水分補給にならないので避けようという説もあるが、株式会社伊藤園が奈良女子大と共同で、学術雑誌European Journal of Nutrition(2023年8月)に掲載した、軽度脱水時の緑茶飲料の飲用は体液バランスを回復させ、緑茶飲料に含まれる20ミリグラム/100ミリリットルのカフェインによる尿排泄(はいせつ)は促進されないことを確認している。また、国民生活センターによる市販ペットボトル茶系飲料のカフェイン量は、いずれも20ミリグラム/100ミリリットル程度で(特濃などはやや多い)、ドリップコーヒーの60ミリグラム/100ミリリットルに比べるとかなり少ない。
食欲回復にさわやかな香りとクエン酸を
水分補給が十分にできたら、あとは夏バテ対策になるドリンク類で積極的に夏疲れを撃退したいものだ。
暑くて何も食べる気がしない~という際におすすめなのが、香りやクエン酸。香りや酸っぱさから刺激を受けて唾液や胃液の分泌が促進され、食欲増進効果が期待できる。さらに糖質と一緒に摂取すると、疲労が溜(た)まりにくくなり、疲労回復にも役立つという。今回ご紹介した青じそと白ワインのジュースは青じその持つペリルアルデヒドという香り成分が胃腸のはたらきをサポートしたり、消化を促進したりする作用がある。そのほかポピュラーな梅シロップのジュースやレモンスカッシュ、飲むお酢の炭酸割りなど、どれも香りとクエン酸豊富なドリンク。さっぱりしつつ、食欲の回復をはかろう。
疲労回復にはビタミンB1、たんぱく質
疲労回復効果といえば、ビタミンB1がまっさきにあがってくる。糖質をエネルギーに変える働きをもつためだ。ビタミンB1は主に豚肉、ウナギなど夏のスタミナご飯に欠かせない食材に豊富に含まれていることが知られているが、青じそにも含まれており、飲み物からも摂取を目指したい。
同時に暑い夏には食欲が低下してたんぱく質の摂取量も低下してしまう。必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)をバランスよく含む良質なたんぱく質は可能な限り取り入れたいもの。大豆製品の豆乳や卵などを使ってドリンクにもたんぱく質を加えよう。
ご紹介している黒豆飴湯は黒豆のビタミンB1と大豆たんぱくで良質のたんぱく質を取り入れつつ、ショウガで体を温め、冷房で冷えて弱った胃を活性化させたい夏ならではの温かい飲み物だ。
紫外線と疲れには抗酸化物質ドリンク
紫外線やストレスにより活性酸素が増え、細胞を傷つけることはよく知られているだろう。厳しい日差しによる日焼けやシミ、くすみなどもこの活性酸素がもたらすもの。活性酸素に対する抗酸化物質にはポリフェノールとカロテノイドがあり、カロテノイドには、緑黄色野菜や果物などに含まれるβ−カロテンやリコピンがある。
季節の果物、マンゴーにはβ−カロテンをはじめ、ビタミンC、Eなどが含まれているため、抗酸化作用の相乗効果が期待できる。肌の老化予防や紫外線対策としてぴったりだ。そこにさらに良質のたんぱく質であるヨーグルトと、抗酸化物質のカテコールとゲンチシン酸を含む麦茶を合わせることで、さらなる抗酸化作用アップを図ったドリンクもご紹介している。
暑さや疲労を感じると副腎からストレスを軽減するホルモンがつくられるのだが、その時にたくさんのビタミンCが消費される。そのため夏はビタミンCが不足しがち。ビタミンCは体内で作り出すことができないので、食べたり飲んだりするもので補給するのが大事だ。ビタミンCをたっぷり含むキウイ+パプリカ、レモンのスムージーや、トマト、キュウリ、パプリカなどで作るガスパチョなどがおすすめ。
こうした取り入れやすいドリンクで猛暑を乗り切っていきたい。
◆青じそ白ワインジュース
材料(1人分)
青じそ … 3枚
白ワイン … 大さじ1+2/3
水 … 150ミリリットル
グラニュー糖 … 大さじ1
作り方
材料をすべて小鍋に入れて中火で煮立て、沸騰後約3分、弱火で煮出す。青じそを除いて冷やす。
*水を少なめにして煮出し、濃いシロップとして作り、炭酸などで割ってもおいしい。
◆黒豆飴湯
材料(1人分)
黒豆茶用煎り黒豆 … 大さじ2
ショウガ(皮つき薄切り) … 4枚
黒砂糖 … 大さじ1
水 … 250ミリリットル
作り方
材料をすべて小鍋に合わせ、中火で煮立てる。ごく弱火にして約10分煮出す。ショウガを除いてカップに注ぐ。黒豆も食べられる。
*冷やしてもおいしい。
◆マンゴーラッシー麦茶
材料(1人分)
マンゴー 80グラム
ヨーグルト 40グラム
はちみつ 小さじ1
麦茶 60~90ミリリットル
作り方
材料をすべて合わせてミキサーにかけ、冷やす。
*麦茶の代わりに水で作るとあっさりしたマンゴーラッシーに。
くぼ・かなこ
同志社大英文学科卒業後、辻調理師専門学校に入学し、調理師免許、ふぐ調理師免許を取得。料理製作、スタイリング、レストランのメニュー開発やテーブルコーディネート、料理書編集などで活動中