国際・政治

新型コロナで「ボロ儲け」の米アマゾンがひた隠しにする「従業員への感染拡大」

アマゾンの流通を担う巨大な倉庫=千葉県市川市のアマゾン市川フルフィルメントセンターで2018年9月、山口敦雄撮影
アマゾンの流通を担う巨大な倉庫=千葉県市川市のアマゾン市川フルフィルメントセンターで2018年9月、山口敦雄撮影

「外出自粛」でAmazonが大人気!

米メディアによると、全米50州のうち40州以上の知事が「在宅命令」を出している。

食品や日用品を買うための外出は可能だが、「Amazon・フレッシュ」「ウーバーイーツ」などの宅配サービスを利用する人が急増している。

問題になっているのは、宅配サービスの現場で働く人の間で、新型コロナウイルスの感染が広がっていることだ。

4月14日付の『ワシントン・ポスト』紙によると、カリフォルニア州ホーソン市にあるアマゾンの倉庫で働く社員が新型コロナ感染症のため死亡した。

米国内の社員のうち感染者は74 人に上るという。

従業員の不満は高まる一方だ。

ニューヨーク市では、配送センターの作業員が「会社の感染対策は不十分だ」などとして出社を拒否し、解雇された。

同様の主張をした社員2人とミネソタ州の倉庫作業員も職を追われた。

同社は「社員にマスクを配布し、出勤時に検温するなど、安全対策に取り組んでいる」とし、時給を引き上げたほか、感染して働けないパート社員に賃金を支払うことにした。

「職場環境が危険」という印象を変えようと必死のようだ。

その一方で、利用増に対応して大量の新規雇用を打ち出した。

3月に10万人を雇い、4月にも7万5000人を予定する。

その一部は、客の注文を受けて、スーパーマーケット「ホールフーズ」で販売する食品を探し、客に宅配するというサービスに従事する。

アマゾンは「新型コロナ感染症の影響で受注能力を60%増やした」とするが、客が多すぎて利用を制限し始めた。

食品だけではなく、他の商品も配送の遅れが目立つほどの人気ぶりだ。

同社の株価は4月16日、過去最高値の2408㌦に急伸。国家非常事態にあって数少ない〝コロナ特需銘柄〞なのだ。

株式市場の熱狂とは裏腹に高まる社員の不満。感染防止を確保する責任をどうするつもりなのか。巨大化する同社の行く末に焦点が当たっている。 (土方細秩子)

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