国際・政治

コロナ禍で注目される「バーチャル株主総会」とは何か

日産自動車の株主総会に向かう株主ら=横浜市西区で2019年(令和元年)6月25日、玉城達郎撮影
日産自動車の株主総会に向かう株主ら=横浜市西区で2019年(令和元年)6月25日、玉城達郎撮影

「ハイブリッド型バーチャル株主総会」をご存じだろうか。

株主総会が集中する6月を前にして、上場企業の総務部で話題になっている。

経済産業省のウェブサイトには次のように定義がある。

〈取締役や株主等が一堂に会する物理的な場所で株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができる株主総会〉

リアルな株主総会とインターネットか電話を使って遠隔参加する株主総会を融合するから「ハイブリッド型」というわけだ。

経産省は「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」を設置して議論を重ね、今年2月に具体的な取り扱いを示した「実施ガイド」を公表。

みずほ信託銀行はハイブリッド型を開催する企業向けに情報システムのサポートなどをするサービスを開発し、提供し始めた。

「新型コロナウイルスの感染が広まる前から準備していました。結果的に感染を防止する手段になり得るため、予想を超える数の引き合いがあります」(同行) 

実施ガイドには〈当日、インターネット等の手段を用いて参加する株主は当日の決議に参加することはできない〉とあり、事前に書面を郵送する必要がある。

その点、同行と三井住友信託銀行が共同開発した「スマート行使」というサービスを使えばネットで議決権を行使できる。

仕組みはこうだ。まず企業は議決権行使書を株主に郵送する。株主はスマートフォンかタブレット端末を使って同書に記載された「QRコード」を読み込み、議決権を行使する。

18年6月開催の株主総会から使えるようになった。

株主総会は企業と株主が対話する最高の意思決定機関だが個人株主の議決権行使率は3割と低迷している。

ハイブリッド型が本来の目的の達成に寄与すれば、新型コロナの思わぬ効果だろう。

(森岡英樹)

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