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「コロナでも営業するパチンコ店」を経営する「在日社会」の本音
5月8日午前10時、大阪市旭区。
整理券を手に3階の駐車場で待っていた客が数珠つなぎに階段を下り、据え付けの体温計で体温を測ってパチンコ店「P.E. KING OF KINGS」に吸い込まれた。
「こんなでかい店、1日に億稼ぐんやから補償もろても仕方ないんや。客は台を見とるだけで互いに向き合わんから、感染せんやろ。トイレはしっかり消毒してほしいけど」
とは68歳の男性の弁だ。
大阪府の吉村洋文知事は4月24日、休業要請に応じないパチンコ店6店の店名を公表した。
その後、「要請に応じない店には休業指示を出す」としたところ、全店が休業した。
だが緊急事態宣言の当初の期限を終え、5月7日を迎えると、20店以上ものパチンコ店が続々と営業を再開したのだ。
休業を求める声が強い中、営業を続ける店がクラスター(感染者集団)となれば、世間から激しい批判を受けるだろう。
旭区の店を含むパチンコチェーンを運営する日本オカダエンタープライズ(大阪市西区)は「一切コメントできない」(広報担当の男性)。
大阪府が以前、系列の店名を公表した際、同社は「休業すると倒産し、従業員や取引先への責任を放棄することになりかねない」とし、政府による資金繰り支援の対象からパチンコ業が外されていることを指摘した。
正社員と派遣社員約200人、アルバイト約500人を雇用しているという。
一方、大阪府遊技業協同組合(大阪市中央区)の男性職員は、こう嘆く。
「今まで休業要請に応じずに営業を続けたのは、組合員でない店でした。しかし今回、組合を脱退した店、それにほかにも開いている店があるとして営業を再開する組合員が出た。『近所の人が不安になっている』と説得しても聞かない。第1世代の経営者は従ってくれたのに」
関西のパチンコ店経営者は8割が在日韓国・朝鮮人とされる。同組合の職員は「在日の人への差別が強まりかねない」とも心配する。
(粟野仁雄)