アクティブ投信 eスポーツでコロナの影響回避 “代替資産”の金に投資も=篠田尚子
「アクティブファンド」と聞くと、大きなリターンを取りにいくために積極的な運用をしている商品をイメージされる人も多いかもしれない。しかし、実態は少し異なる。資産運用の世界では、アクティブ運用の明確な定義は存在せず、一般的に、TOPIX(東証株価指数)などのインデックス(指数)に完全に連動していない「非・インデックス型」の商品をアクティブファンドと呼ぶことが多い。“Active”という英単語には「積極的」「活発」「能動的」などの意味があるが、アクティブファンドの“Active”が意味するのは、運用の自由度の高さであって、必ずしも高いリスクを負って高いリターンを追求することだけではない。
「バランス型」の利点
アクティブファンドの中には、むしろ、市場平均と比べてリスクを低く抑えることに重きを置いた商品も存在する。今回の波乱相場により、精神衛生上、保有する全ファンドが含み損を抱えているような状態が心もとないということであれば、低リスク型のファンドも併せて保有することをおすすめしたい。
一覧にある「バランス型」の商品はいずれも、市場環境に応じて、柔軟に資産配分を調整し、リスクコントロールを図る点に最大の特徴がある。
例えば、年率4%の目標リスク水準を掲げて運用するアセットマネジメントOneの「投資のソムリエ」は、2月25日の時点でリスク性資産の配分比率を引き下げる「警戒局面」と判断し、結果的に大きな基準価額の下落を回避できた。より保守的な運用を行う商品としては、「ピクテ・マルチアセット・アロケーション・ファンド」も良いだろう。運用を担うピクテ投信投資顧問は、同ファンドを「欲張らない投資」のための商品と位置付け、インフレに負けない2〜3%程度のリターンの水準を実現してきた。
また、つみたてNISAの対象商品なら、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード 最適化バランス」シリーズをおすすめしたい。目標リスク水準別に、最も低リスクの保守型(年2%)から高リスクの積極型(年13%)まで、計5本用意されているので、自身のリスク許容度に合わせて選択できる。
テーマ型は余裕資金で
反対に、足元の株価調整局面を好機ととらえ、アクティブファンドでより積極的なリターンを狙いたいなら、運用力に定評のあるファンドを取り入れるとよいだろう。
今回は、国内株式のほか、米国をはじめ海外株式を主要投資対象とするタイプに加え、一連の「コロナショック」の影響を受けにくいとみられるテーマ型と、代替資産であるREIT(リート)(不動産投資信託)や金に実質的に投資するファンドもピックアップした。
海外株式については、既に先進国株式や米国株式のインデックスファンドを保有している場合は無理に追加しなくてもよい。ただし、日本株については、TOPIXや日経平均株価のインデックスファンドを保有し続けても、長期的に大きな経済成長(≒リターン)を期待しづらいため、アクティブファンドへの投資も検討した方がよいだろう。
テーマ型と商品などの代替資産は、あくまでも余裕資金がある場合の追加的な選択肢として考えてほしい。特に、REITと金は、前述のバランス型に投資先として含まれていることも多いので、バランス型を保有している場合は追加しなくてもよい。
テーマ型として挙げた大和アセットマネジメントの「iFreeActive ゲーム&eスポーツ」は、話題のゲーム・eスポーツ関連企業が投資先に含まれている点がポイントだ。基準価額の値動きは大きめだが、現物投資が難しい地域や銘柄に投資ができるのは、投資信託ならではの魅力といえる。
(篠田尚子・楽天証券経済研究所ファンドアナリスト)