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「緊縮財政」の足かせをつけたままではコロナ経済対策は失敗する=立沢賢一(元HSBC証券会社社長、京都橘大学客員教授、実業家)

参院財政金融委員会で答弁する麻生太郎副総理兼財務相=国会内で2020年3月26日午後1時32分、川田雅浩撮影
参院財政金融委員会で答弁する麻生太郎副総理兼財務相=国会内で2020年3月26日午後1時32分、川田雅浩撮影

「2次補正予算案で事業規模100兆円超の対策」の中身

最も大切なのは100兆円超の内、「真水」がどれくらいなのかです。

今回「真水」は32兆円と報道されていますが、この金額は大きく3つに分かれています。

①通常の「真水」で、10兆円が日本国内市場に注入されます。

②約12兆円の「企業の資金繰り支援」。

これは、所謂「貸付」です。ですから、たとえ金利がゼロだとしてもいつか必ず元本を返済しなければならないので、資金が注入された事にはなりません。経済状況が良く、インフレギャップの需要を満たす為に供給拡大を目的とした設備投資をするのであれば、貸金の意味があります。

しかし、今回のように経済活動が停止している場合、貸付金は将来経済活動が活況化する為の投資ではなく、今を生き延びる為の必要経費を賄う為に使われるのです。貸金枠は12兆円ありますが、実際には、12兆円になるのか0になるのか、6兆円になるかなどは借入人次第なのです。

ただし、もしこの貸付を劣後ローン形式で行えば、赤字企業が貸金を受けても、黒字が将来出ない限り、返済義務はないという仕組みになります。つまり、12兆円を全て赤字企業に貸し出すことができれば、返済期日が確定しないので真水的機能は存在します。

③「予備費」で、10兆円です。

これについては支出使途が確定していないもので、これから柔軟な姿勢で支出していくものです。ですから、使わなければいけないという強制力はない10兆円なのです。

言葉は悪いですが、「真水」 32兆円と見せかけて、政府は実際には、10兆円程度の真水で済ませてしまうことができるのです。

前回は事業規模108兆円の景気刺激策の中で、「真水」は17兆円程度でした。

今回も事業規模は100兆円超ですが、確定している「真水」は10兆円だけなので、恐らく「真水」は前回より少ないというのが現実的な予想ではないかと危惧しています。

残念ながら、日本政府が緊縮財政政策という足枷を付けている限り、どうしても思い切った「真水」を捻出出来ないのが現実なのです。

立沢賢一(たつざわ・けんいち)

元HSBC証券社長、京都橘大学客員教授。会社経営、投資コンサルタントとして活躍の傍ら、ゴルフティーチングプロ、書道家、米国宝石協会(GIA)会員など多彩な活動を続けている。投資家サロンで優秀な投資家を多数育成している。

YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCgflC7hIggSJnEZH4FMTxGQ/

投資家サロン https://www.kenichi-tatsuzawa.com/neic

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