経済・企業

「阪神・淡路大震災で傷ついた市民を励ましてくれた」パンダのタンタンが日本を離れる【サンデー毎日】

神戸市立王子動物園の「タンタン」=神戸市灘区で2020年6月1日午前10時8分、北村隆夫撮影
神戸市立王子動物園の「タンタン」=神戸市灘区で2020年6月1日午前10時8分、北村隆夫撮影

神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ、タンタン(旦旦、雌)が中国へ旅立つ。

「日中共同飼育繁殖研究」のため2000年に来園したタンタンだが、7月15日に貸与の契約期限を迎えるためだ。

上山裕之園長は「寂しい。タンタンは阪神・淡路大震災で傷ついた市民を励ましてくれた」と肩を落とす。 

王子動物園はタンタンの契約延長を求め、中国野生動物保護協会と交渉。昨年には主にパンダを担当する飼育研究員も採用した。

しかし、タンタンは24歳、人間でいえば70歳超になる。

環境が整った中国で余生を送った方がよいと中国側が判断した。 

行き先は四川省の都江堰だ。ここには高齢だったり、負傷したりしたパンダも暮らす。

タンタンの姉のバイユン(白雲)も昨年5月、米サンディエゴ動物園から都江堰へ渡った。

また、東京・上野動物園のシャンシャン(香香)も今年末の契約期限満了後、都江堰へ行く可能性がある。

王子動物園はタンタンを愛情いっぱいに育ててきた。国内でタケノコを入手しづらい秋冬には輸入して与えた。

高齢で硬い竹を嚙みづらい時があるタンタンに、柔らかいタケノコで栄養をつけるためだ。 

お金もかけている。研究支援で中国からタンタンを借りる費用に年25万㌦、エサの竹代は年約900万円かかる。

タンタンは恥ずかしそうに食べる仕草や、飼育員さんに甘える表情などが可愛らしく、ファンは全国にいる。

一方、コロナ禍で四川への直行便が欠航中のため、タンタンの出発は7月15日以降になる可能性が高い。

王子動物園は6月1日、約2カ月ぶりに営業を再開した。ただ、感染防止対策のため、入場できるのは抽選に当たった1日最大2000人。

6月22日からは2500人に増えるが、兵庫県外に住む人は、一部を除き入場できないままだ。

最後にタンタンに会いたい県外のファンは、コロナの収束とタンタンの帰国にやきもきする日々が続く。

(中川美帆)

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