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人種差別問題に揺れるアメリカで「市警解体」の動き【サンデー毎日】
米ニューヨーク市のデブラシオ市長は6月7日、同市警の予算を削減し、「青少年や社会福祉に予算をシフトする」と発言した。
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市警は警察官数が約3万6000人、予算が年60億㌦(約6500億円)と、全米最大の規模を誇る(警視庁2019年度予算の2倍近い)。
市長は市警予算の削減額を明らかにしていないが、市幹部らは公開書簡で「10億㌦削減」を要求している。
ロサンゼルス市のガーセッティ市長も同様の予算組み替えをするとして、市警予算を2億5000万㌦削減する意向を示した。
もっとも治安悪化を懸念する意見が高まり、削減額は最終的に1億5000万㌦で落ち着いた。
相次ぐ削減の背景には、全米に広がる警察への批判がある。
発端はミネソタ州ミネアポリス市で5月25日、黒人男性の容疑者、ジョージ・フロイドさん(46)が警官の暴行を受けて死亡した事件だ。
地元テレビ局KMSPのウェブサイトに載る6月9日付記事によれば、同市議の過半数は市警を「解体」する考えだという。
具体的に何をどう変えるのかは市議も「未知の領域だ」と述べ、はっきりしない。
犯罪を捜査する警察組織は日米で大きく異なる。
日本には都道府県警しかないが、米国には国の連邦捜査局(FBI)、各州の州警察など、郡の保安官事務所、そして市町の警察に分かれる。
市警は市役所の一部局にすぎず、市が解体することも可能だ。
しかし、「警察予算を削減すれば犯罪が増える」と懸念する声もある。
ミズーリ州の警官が黒人青年(18)を射殺した14年の事件を受け、各地の警察は警官の制服にビデオカメラの装着を義務付けるなどの対応をしてきた。
それでも警官による暴力が収まらないことに人々の怒りが高まっている。
各地の市長はその声に呼応して警察に強く出ざるを得ない。しかし結果として治安が悪化すれば、批判は市長に向かう。米国の市長にとって難しい選択だ。
(土方細秩子)