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赤字が続く日本郵政 コロナ禍で子会社の資産を売却?【サンデー毎日】
日本郵政がオーストラリアの物流子会社トール・ホールディングスの資産売却や他社との事業統合も視野に抜本的な再建に向けた検討に入った。
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米金融通信社ブルームバーグが報じた(6月1日付日本語版)。
野村證券をアドバイザーに起用したという。
日本郵政は株式上場する直前の2015年6月、約6200億円を投じてトールを買収。
アジア太平洋地域を中心に50カ国以上、約1200拠点を展開する同社を傘下に入れることで、世界の物流大手と競い合うことを目指した。
しかし、証券関係者は「買収額はトールの当時の時価総額の約1・5倍。当初から高値づかみを指摘する声は根強かった」と話す。
日本郵政関係者が買収当時の思惑を説明する。
「トールの買収を主導したのは西室泰三社長(当時)です。ドイツ国営郵政を民営化したドイツポストが、米国で創業した国際物流大手のDHLを買収した成功例をモデルにしていました」
しかし、トールは17年3月期に4003億円の減損処理に追い込まれた。その後、経営陣の入れ替えや不採算事業の売却など再建を進め、18年10月には日本郵便とトールによる合弁の「JPトールロジスティクス」を設立して相乗効果を目指したが、20年3月期も86億円の営業損失を計上した。
一方、日本郵政は傘下のかんぽ生命の販売を巡って法令違反が大量に発覚した上、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。
中央省庁の幹部は「日本郵政が赤字を続けるトールをこのまま抱える余裕は失われつつある」と厳しい見方をする。
日本郵政は21年3月期に本業の儲けを示す営業利益を黒字化する目標を掲げているが、増田寛也社長は「トールの売却は考えていない」としてきた。
「トール買収は15年11月の上場を見据えた成長戦略のメッセージだった」(前出の日本郵政関係者)というが、思惑とは逆に株価低迷を招く負の遺産と化している。
(森岡英樹)