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関電元役員への損害賠償訴訟で疑惑は解明されるのか【サンデー毎日】
関西電力は6月16日、岩根茂樹前社長、八木誠前会長、森詳介元相談役ら5人に計19億3600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。
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提訴理由は経営幹部として業務を任された被告が、法律上要求される注意義務(善管注意義務)に違反し、会社に損害を与えたというもの。
損害額の算出根拠はこうだ。
昨年、被告を含む関電の幹部75人は、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の森山榮治元助役(故人)から約30年にわたり、約3億6000万円の金品を受け取っていたことが発覚。それに伴い関電は自社広告を中止し、自治体から入札の指名停止を受けるなどして8億7900万円の営業損失をこうむった。
さらに、この問題の調査を委託した第三者委員会(但木敬一委員長)の費用を含む調査費が7億7300万円。
まだある。2011年に東京電力福島第1原発で事故が起きた後、関電は原発の運転を停止した。それに伴う収益の低下をカバーするため、「電気料金を値上げする代わりに役員報酬をカットする」と発表。
しかし、役員18人が退任した後、関電は密ひそかに計2億6000万円の報酬などを支払っていた。これも損害額に計上した。
しかし、算定できない損害もある。関電は森山氏が関わっていた複数の会社に対し、本来より高い金額で工事などを発注していた。その損害額だ。
関電は提訴について記者会見を開かず、事実関係を記した文書をウェブサイトに掲載しただけだった。被告の5人はコメントしていない。
関電の筆頭株主は大阪市だ。
今回、関電の監査役らが決定した提訴に、同市の松井一郎市長は「内向きな企業体質にメスを入れようという判断は評価できる」とコメントした。
6月25日には、この問題が発覚してから初めての株主総会がある。 異例の「現役によるOB提訴」は、電気料金を支払う人よりも、株主を意識したパフォーマンスに見えてならない。
(粟野仁雄)