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プロ野球開幕!無観客で静かすぎる球場で信じられないハプニングが発生【サンデー毎日】

無観客での開催となり、観客席に張られた応援パネル=阪神甲子園球場で2020年7月9日、久保玲撮影
無観客での開催となり、観客席に張られた応援パネル=阪神甲子園球場で2020年7月9日、久保玲撮影

経験がない特殊なルールで物事を行うと、想像もしなかったハプニングが起こるものだ。

無観客で開幕したプロ野球だが、その問題は東京・神宮球場で行われたヤクルト―中日戦で表面化した。

開幕カード3戦目の6月21日、九回表開始前に中日の与田剛監督が嶋田哲也球審に近寄り、話しかけた。

同球審は一塁側のヤクルトベンチに向かい、スタンドを指さしながら高津臣吾監督らに説明を始めて試合は数分間中断した。

試合はそのまま続行されたが、与田監督は試合後も審判団と話し合った。

実は、与田監督が問題にしたのは実況中継の声だった。

神宮のテレビ、ラジオの放送ブースはバックネット裏上段に設置されているが、前面に窓がなく吹き抜けの状態になっている。

この日も何局かが中継しており、そのアナウンサーの声がグラウンドまで聞こえてしまうのが問題とされた。

「放送ブースから『キャッチャーがインコースに寄りました』『腰を浮かせてミットを高く構えました』という声が聞こえると、試合に支障が出る」との理由だった。

通常の試合ならばスタンドの声援や鳴り物などでグラウンドまで届かないが、無観客の静寂の中ではアナウンサーの声はよく通る。特

に臨場感を出さなければいけないラジオは、細かい動きまで伝える習性がついているのだ。

投球コースや球種が分かると打者に狙い球を絞られてしまう。そのため、二塁走者やベンチからコースなどを知らせる行為は禁止されている。

捕手も投球ギリギリまでミットを構えるのを遅らせるなど、そんな駆け引きも見どころの一つだ。

報告を受けた日本野球機構は各球場や各局に注意を促し、神宮では放送ブースの前に透明なシートを設置する対応を取った。

各局も実況アナウンサーにプレーに影響が出る表現は避けるように指示したという。

7月10日から観客を入れる方針だが、まだ予想されない問題が出てくるかもしれない。

(水木 圭)

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