日本医師会の新会長はなぜオンライン診療に反対なのか
6月27日の日本医師会の会長選挙で副会長の中川俊男氏=写真=が、現職の横倉義武氏を破って新会長に就任した。コロナ禍で課題が山積する中、関係者の間で早くも「医師の利益を優先する圧力団体」への先祖返りを懸念する声が出ている。
中川氏は2010年から5期、副会長を務めた。同氏は会見で「政府に対してものを言う姿勢」を勝因にあげたが、「死に体」の安倍政権との距離が近い横倉氏への反対票が回った面が否めない。
安倍首相との距離が近かった横倉前会長は、後期高齢者窓口負担の1割から2割への引き上げや、コロナ禍を受けたオンライン診療での初診の容認など、改革策を次々と受け入れてきた。それに対し、中川氏は、窓口負担増加が前提の全世代型社会保障は「給付を狭めて負担を上げる決め打ちの議論だ」と懸念を表明。報酬の減少につながるオンライン診療の全面解禁には慎重姿勢を崩していない。
年間43兆円超に膨張した医療費の抑制は待ったなし。中川氏は政治や行政に「是々非々で対応する」と強調するが、新会長の下、改革の流れは止まるのか。
(本誌初出 日本医師会の新会長に中川氏 「先祖返り」へ懸念の声 20200714)