コロナ終息後にオンライン診療は禁止? 日本医師会VS安倍政権のバトル勃発
日本医師会の横倉義武会長=写真=が勇退を翻し、6月27日の会長選に立候補したことが、関係者の間で波紋を呼んでいる。裏には、オンライン診療を巡る駆け引きがあるようだ。
横倉氏は2012年に会長に初当選し、現在4期目。安倍晋三首相ら政界との人脈の太さで知られ、政権との協調路線を築いた。勇退し、副会長の中川俊男氏に禅譲する意向を一時固めたが、公示日直前に一転して出馬を表明。同氏は「(コロナ禍の)この時期に交代するのは、『国民を見捨てるのか』との批判が関係者からかなりあった」と説明する。
背景には、中川氏が初診へのオンライン診療適用に反対なことがあるようだ。新型コロナの感染拡大を受け、4月からスマホや電話などを使ったオンライン診療が時限的措置として初診から解禁となった。だが、医師会は初診は対面診療が基本で、コロナ禍が終息すれば、再び原則禁止にすべきとの立場を貫く。
安倍政権としては、新型コロナの終息が見えない中、オンライン診療の初診への適用を恒久措置にしたい考え。そこで、政権と距離の近い横倉現会長が再び担ぎ出されたとの構図が透けて見える。
(本誌初出 日医会長の勇退撤回 遠隔診療が陰の争点 2020・6・30)