経済・企業深層真相

「小児科、眼科、耳鼻科は特に厳しい」なぜ医療機関でコロナ関連倒産が発生しているのか

エクモ(手前)の扱い方の実技指導を受ける府内の医療従事者ら=京都市上京区の府立医科大で2020年8月9日午後2時51分、千葉紀和撮影
エクモ(手前)の扱い方の実技指導を受ける府内の医療従事者ら=京都市上京区の府立医科大で2020年8月9日午後2時51分、千葉紀和撮影

 医療機関として全国初の「新型コロナウイルス関連倒産」が7月21日に発生した。

 帝国データバンクによれば、破産したのは岸本整形外科医院(岡山県)。年商1億円の個人医院だったが、病院施設などの設備投資に伴う借入金が重荷となっていたうえ、新型コロナの感染拡大で通院を控える動きが加速し、外来患者の診療件数が減少。「4月以降の収入は前年同月比で約2割ダウンし、事業継続が困難になった」(同院関係者)という。

 実は、医療機関の経営はコロナ禍以前から厳しさを増していた。昨年の医療機関の倒産は45件発生し、過去10年で最多を記録。もともと苦しい経営を強いられるなか、新型コロナの影響が病院経営を直撃している。「小児科、眼科、耳鼻科は特に厳しい。このままでは秋以降、運転資金不足に陥る病院やクリニックが相次ぐ恐れもある」(医療業界関係者)。

 これらの医療機関には、各地の地銀・第二地銀が多額の資金を貸し込んでいるケースが少なくない。医療機関の経営悪化がこのまま続けば、医療崩壊だけでなく地銀業績にも今後、飛び火しかねない。

(本誌初出 全国初、病院のコロナ倒産 厳しいのは小児科、眼科 20200825)

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