「お金配りおじさん」前沢友作氏が株を大量取得……ユナイテッドアローズは今回も買収防衛に動くのか
コロナ禍で4〜6月期の売上高が前年同期比40・8%減、50億円の営業損失を計上し、純資産が前期末から52億円も目減りした大手アパレル・ユナイテッドアローズ(UA)。8月13日には株価も年初来安値の1336円まで下落したが、同日午後、ZOZO創業者の前沢友作氏がUA株の大量保有報告を提出したことで、14日は一時1616円まで上昇した。
UA株を7・97%取得した前沢氏は「知見を生かし、コロナで苦しむユナイテッドアローズに友好的な助言をしたい」としている。
だが、UAには苦い経験がある。2008年、靴専門店大手エービーシー・マート創業者・三木正浩氏の資産管理会社「イー・エム・プランニング」がUA株を大量取得した。翌年にはエービーシー・マートが同社からUA株の23%を65億7100万円で買い取って筆頭株主となった。だが業務提携などを巡る思惑は一致せず、10年9月にはエービーシー・マートがUAの自己株式の公開買い付けに応じ、全株を107億円で売却する結末に。この攻防戦は、UAの財務とガバナンスを根本から狂わせた。
UAはこれ以前にも大手アパレルのワールドなどから自社株式を買い取っており、エービーシー・マートから買い戻した自社株式と合わせて大量に消却。実に、純資産の368億2900万円(20年6月末時点)を超える378億8267万円を買収防衛に費やした。コロナ禍で綱渡りの資金繰りを強いられているUAだが、前沢氏を素直に「友好的」と受け取れるのか。
(本誌初出 前沢氏を歓迎できないユナイテッドアローズ 20200908)