あのバフェット氏のバークシャー・ハサウェイも購入! 金への直接投資より金鉱山株が注目されている理由
金鉱山株は「産金株」や「金鉱株」とも呼ばれ、金鉱山の権益を持っている会社の株式のこと。金価格の上昇につれ、著名投資家のウォーレン・バフェット氏率いる米複合企業バークシャー・ハサウェイが金鉱山株に投資したことでも注目が集まっている。
金鉱山は米国、オーストラリア、中国など世界各地にあり、産金会社は自国のみならず、他国の鉱山の権益を有しているケースが珍しくない。採掘コストが変わらなかった場合、産出した金の価格が上昇すれば会社の利益は増え、逆に金の価格が下落すれば利益は減る。このため、これらの会社の株価と金価格(特に海外の金鉱山株とドル建て金価格)は連動する傾向がある(表)。
今年8月、バフェット氏は銀行株を売却し、カナダの金鉱山最大手のバリック・ゴールドの株を買ったと報じられた。「金利が付かない」ことを主な理由に、金への投資に否定的なスタンスだったバフェット氏が金鉱山株を買ったことは市場に大きな影響を与えた。
国内なら住友金属鉱山
金そのものへの投資は金利や配当が付かないが、金鉱山株への投資は金価格との連動性が高く、疑似的に金に投資をしている効果が期待できる。同時に、その会社が配当を出せば配当金を受け取ることもできる。金鉱山株はバリック・ゴールド以外にもある。他の金属やエネルギー資源を採掘している場合もある。投資にあたっては、こうした銘柄の特徴を踏まえることも重要だ。
ただ、金鉱山会社の株価は、当然ながらその会社の業績に影響を受ける。特に金鉱山以外からの利益の割合が大きい会社は、株価と金価格が連動しない場合があり、注意が必要だ。日本では国内唯一の大規模な金鉱山「菱刈鉱山」(鹿児島県)を保有する住友金属鉱山が金鉱山株と言えるが、同社全体の収益に占める金鉱山事業のウエートは高くなく、同社の株価と円建て金価格の連動性は海外に比べて低い。
証券会社によっては海外の金鉱山株を購入できるが、外国株式の取引を行うための口座開設の手続きが必要であり、また米ドル建てのため為替の影響も受けることに注意したい。
(吉田哲・楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト)
(本誌初出 金鉱山株 配当得られるメリット バフェット氏も買い注目=吉田哲 20200922)