投資・運用スガノミクス 狙う株

初心者にもわかりやすいアメリカ株投資 誰でもできる簡単な買い方と注意点

    右肩上がりのトレンドを維持する米NASDAQ(Bloomberg)
    右肩上がりのトレンドを維持する米NASDAQ(Bloomberg)

     ヤフーファイナンスで投資信託の資金流入額(月次)を見たところ、上位20本のうち国際株式型投資信託は18本。このうち「北米型」に属しているのは9本だった。北米型は主に米国株式市場に投資するタイプだ。(スガノミクス 狙う株)

     投信だけではない。近年は米国の個別株投資に対する関心も高まっている。8月、個人投資家向けの勉強会に参加した時も、参加者が米国株投資を話題にして雑談していた。

     米国株投資の関心が高まっている理由は、いくつか考えられる。

    1株から買える

     第一にマーケットが堅調であることだ。暴落する直前のS&P500は2月19日、3386・15ポイントまで上昇した後、3月23日に2237・40ポイントで大底を打ち、そこから上昇へと転じ、8月28日には3508・01ポイントをつけて過去最高値を更新した(図)。個別株でも投信でも、マーケットが堅調ならリターンが期待できる。米国株への関心が高まっている一番の理由は、やはり高いリターンに対する期待感だろう。

     第二に個別銘柄投資のアクセスがよくなった点が挙げられる。マネックス証券、楽天証券、SBI証券はいずれも3600銘柄以上を扱っており、日本株を買うのと同様、今では米国株もインターネット経由で簡単に売買注文を出せるようになった。

    ポイント1 最低取引手数料の撤廃

     第三は手数料の問題。もう旧聞に属する話だが、昨年、米国株投資にかかわる最低取引手数料が撤廃された。従来はどこのネット証券会社も「約定代金×0・45%」で、5ドルに満たない場合は最低取引手数料として5ドルが取られた。

     米国株の最低取引単位は1株なので、少額資金で売買できるのもメリットの一つだが、最低取引手数料があると、少額投資した場合にコストが割高になってしまう。その問題が解消されたことで、米国株の個別銘柄投資が一段とやりやすくなった。

    ポイント2 銘柄多く、為替手数料の安さ

     米国株式はインターネット証券会社だけでなく、対面型の証券会社でも扱っているが、取扱銘柄数、手数料などのコスト面から考えれば、対面型の証券会社で売買する必要性は全く見いだせない。したがってインターネット証券会社の中から、取扱銘柄数が多く、かつ取引手数料や為替手数料の安いところを選べばよいだろう。

    ポイント3 NISAの活用を

     長期的な財産づくりを目的とするならば、できれば税制メリットのある「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」を活用したいところだが、残念ながら米国株式は対象外だ。ただ一般NISAは使えるので、2028年までは年間の投資上限額が決まっているものの、運用益については非課税で投資できる。

    ポイント4 定時定額購入

     個別銘柄を積み立て投資する方法は、SBI証券が個別銘柄とETF(上場投資信託)を対象にした「定期買付サービス」を提供している。「定額」ではないのでドルコスト平均(定額投資)効果は得られないが、このサービスを活用すれば、株数指定か金額指定のいずれかで定期的に買い付けていくことができる。ちなみに金額指定は1円までピッタリ買い付けるのではなく、指定した金額で買える株数を買うというものだ。

     もし、どうしてもドルコスト平均効果を使いながら米国株式に投資したいという場合は、個別銘柄ではなく、米国株式を対象にした投信を定時定額購入すればいい。この方法なら、多くの証券会社が対応しているはずだ。

    ポイント5 超有名企業に投資

     とはいえ、いざ投資しようと思っても、何を買えばいいのか分からないという人は多い。証券会社にもよるが、SBI証券や楽天証券、マネックス証券だと3600銘柄程度は扱っている。

     ここで問題になるのが、個別銘柄を選ぶのに必要な情報収集だ。米国株式を扱っている証券会社は最低限の情報を提供してくれるが、日本株に比べれば情報量は少なくなる。直接、企業サイトから業績情報などを取ることはできるが、米国企業のIR(投資家向け広報)サイトは基本的に英語なので、それを読みこなせるだけの語学力が必要になる。

     もし英語のIRサイトを読む自信がなければ、まず超有名企業に投資してみる。アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、テスラ、ウォルト・ディズニー、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなど、日本でも知られている米国企業は意外と多い。

     前述したように、米国株式は1株から投資できるので、投下資金もそれほど大きくなく、失敗したとしても痛手は少ない。まずは有名企業に投資して、そこから徐々に他の銘柄の知識を深めて投資する銘柄を増やしていけばよいだろう。

    ポイント6 投信組み入れ銘柄に注目

     その際に役に立つのが、米国企業を組み入れて運用している投資信託の運用リポートだ。

     たとえば農林中金全共連アセットマネジメントが設定・運用している「農林中金〈パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」という米国株式に厳選投資している投信がある。もちろん、この投信を購入するのも一手だし、個別銘柄投資に興味がある人は、この投信に組み入れられている銘柄をチェックするだけでも参考になるはずだ。

     運用会社のサイトでは、運用している投信の運用リポートや運用報告書が見られるようになっている。運用リポートには組み入れ上位10銘柄、運用報告書(全体版)には全組み入れ銘柄が記載されているので、これらのディスクロージャーを参考にして候補銘柄を絞り込んでいくと、効率的に投資したい銘柄が選べるだろう。

     なお、毎月作成されている「おおぶね」の運用リポートには、同社が関心を持っている米国企業をリサーチした際のリポートも掲載されている。過去、掲載された米国企業は、サービス・コーポーレション・インターナショナル、ウォルト・ディズニー、コストコ・ホールセール、チャーチ・アンド・ドワイトなどだ。このリポートに書かれている内容を読んで腑(ふ)に落ちたら、しばらく株価をウオッチしてみるといい。

     なお、個別銘柄を選ぶのが面倒だという人は、S&P500などのインデックスに連動するETFや投信を買えばいいだろう。これなら定額積み立て投資も可能だ。

    過度なリスクテークは禁物

     また、複数銘柄でポートフォリオ(投資の中身)を組むならば、「コア・サテライト戦略」といって、コアにS&P500のインデックス・ファンドを、サテライトに個別銘柄を配分することによって、個別銘柄投資のリスクをコントロールするという手法もある。個別銘柄投資のリスクを取れるならサテライト部分の比率を高めに、個別銘柄投資のリスクを最小限に抑えたいなら、サテライト部分の比率を低めにする。

     これは米国株式に限った話ではないが、兼業投資家の株式投資は長期投資が原則だ。長期で保有し続けられるようにするためには、過度なリスクは取らないようにすることである。コロナショックでは瞬間、株価が大きく下げて大きな損失を被った個人投資家の中には、市場からの退場を余儀なくされた人もいた。

     夜も寝られないくらいのポジション(投資残高)を持つと、下げに耐え切れなくなって自ら退場を選んでしまう。

     長期的に米国の株価は上昇するという長期成長シナリオを信じているのであれば、とにかく持ち続けること。そのためには、過度なリスクを取らないことだ。この2点を心掛けるといいだろう。

    (鈴木雅光・JOYnt代表)

    (本誌初出 米国株入門 投信の組み入れ銘柄参考に賢く買う方法=鈴木雅光 20200929)

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