新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

経済・企業 スガノミクス 狙う株

ソフトバンクグループがMBO(経営陣による自社買収)によって市場から消える……日本株と株主に深刻なダメージが懸念される理由とは

(Bloomberg)
(Bloomberg)

 ソフトバンクグループ(SBG)のMBO(経営陣による自社買収)観測の背景には、孫正義会長兼社長の市場評価に対する不満がある。孫氏は決算発表のたびに、SBGの株価が市場に正当に評価されていないと不満を繰り返していた。MBOによって株式が非上場になれば、不当な評価がなくなる。

 しかし、今回違うのは従来MBOの話題が出ていた時とはSBGの事業形態が全く違っている点だ。今のSBGは投資会社である。ヘッジファンドのように活発な投資をするファンドが上場しているようなものだ。上場企業としての投資家への説明や手続きが面倒なことは理解できる。

 バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイも投資会社で上場しているが、SBGとは投資手法が違う。割安で買う長期保有だ。これなら、情報開示しやすい。SBGが投資活動の説明責任をバークシャーのように果たすのは困難だろう。

 だが、SBGは日本の上場企業の中で、時価総額がトヨタ自動車に次ぎ2位の会社だ(約13.4兆円)。SBGが株式市場から撤退となると、日本の証券市場、個人を含む株主へのショックは非常に大きい。

 また、MBOは既存の株主にとっては不利益になる可能性が否定できない。MBO価格が市場価格を上回る水準に設定されるとしても、長期保有の個人株主の中には、高い価格で買っていた可能性がある。MBOに応募するしかなく、その結果、損失を被る株主も発生するかもしれない。かつて日本企業でMBOをした企業には投資家から非難が殺到した。

(広木隆、マネックス証券 チーフ・ストラテジスト)

(聞き手・構成=桑子かつ代・編集部)

(本誌初出 ソフトバンクGのMBOは大ショック=広木隆 20200929)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事