教養・歴史コロナで消える・勝ち残る大学

30年で大学進学率「24・6%→53・7%」18歳人口は「4割減」……180度の環境激変にさらされる大学はどう生き残ればいいのか

     グローバル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、18歳人口の減少と都市部への人口集中……。大学を取り巻く環境は、大きく変化している。その真っただ中に起きたのが新型コロナウイルス禍である。

     コロナ禍以前の2018年、文部科学省の中央教育審議会(中教審)は、答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」を発表した。40年には、18歳人口は現在の約4分の3の88万人まで減少し、多くの大学が閉校となる可能性がある。そこで、高等教育機関の規模や地域配置を検討すべきとして、一つの国立大学法人が複数の大学を経営する「1法人複数大学制度」や国公私の枠組みを超えた連携を目指す「大学等連携推進法人」の導入、自治体や産業界を含めた地域連携のあり方を検討する「地域連携プラットフォーム」の構築を提言した。

     今後、大学の戦略的な連携・統合は増えていくだろう。

     一方、16年には大都市圏に入学者が集中している状況を是正する目的で、「私立大学の入学定員の厳格化」が始まった。受験生の間では大きな混乱が生じたが、定員割れ大学は16年の44・5%から19年には33%に減少しており、目的はある程度達成されたといえる。しかし、今後も地方を中心に人口減少は続くため、将来に向かって安心できる状況とは言えない。

    留学生の獲得競争も

     コロナの終息の見通しは立たない。だが、アフターコロナを見据え、「大学版DX」の推進は待ったなしの状況だ。

     政府も手をこまねいているわけではない。中教審では、大学の設置基準の見直しを含めた大学の新たな質保証のあり方が議論されている。現在、オンラインなどの遠隔授業について、大学の設置基準には、卒業に必要な単位として認めるのは60単位までとする規定がある。この上限の緩和と、通学を前提に定められている規制の改定、大学の定員管理の見直し等が検討されている。全てはアフターコロナを見据えたものだ。

     図は、今の大学生の保護者や企業の管理職が大学に通っていた1990年と現在を比較したものだ。90年の18歳人口は約200万人、大学数は500余。大学進学率は約25%で、4人に1人しか大学に進学しなかった。現在の18歳人口は約120万人、一方大学数は800弱まで増加している。それでも大学の淘汰(とうた)が進まなかったのは、大学進学率が2倍以上の約54%まで上昇したからである。

     だが今後の進学率上昇は望み薄である。19年の出生者数は約86万人と、文科省の予測を上回って減少した。大学のグローバル化も後退することはないだろう。25年には中国や東南アジアの国々も人口減少社会に突入することから、国際間の留学生獲得競争はさらに激化する。社会環境の変化を想定しながら、各大学は国内はもちろん、海外からも学生を集められるような魅力的な大学づくりをしなければならない。

     コロナによって大学のDX化は加速度的に進むだろう。しかし、デジタル化は手段で、全てが解決できるわけではない。最も重要なのは、各大学がどのような強みや個性を打ち出すか、学生にどのような付加価値をつけて社会に送り出すかだ。

    (小林浩・リクルート進学総研所長)

    (本誌初出 大学改革 18歳人口減で進む経営統合 DX推進は待ったなし=小林浩 20201013)

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