「AI活用のオンライン診療で差別化」 岩崎博之 メディカル・データ・ビジョン社長
新興市場で話題の企業の経営者に、自社の強みを聞いた。(急伸!中小型株)
(聞き手=稲留正英・編集部)
DPC(医療費の包括払い)方式を採用する病院向けに、病院がコストを管理できる経営支援システムを提供している。ユーザーは全国の802病院で、全国のDPC対象病院の45%をカバーしている。これらの病院との信頼関係を基に、実患者数で3332万人分のDPCデータを保有しているのが強みだ。
10月からは、パソコンやスマホを通じたオンライン診療サービス「オンラインドクターバンク」を開始した。オンライン診療の初診の規制緩和が恒久化されるという話が出ているが、医師に患者の情報がなければ、何の意味もない。800病院にアンケートをとったが、患者データが何もないままでは、自分の決断に自信が持てないから、オンライン診療はやりたくないとの回答が8割を占めた。当社はすでに、患者と病院が診療情報を共有する「カルテコ」というPHR(パーソナルヘルスレコード)システムを提供している。スマホやPCで自分の診療情報を持ち運べる患者の対象人数は百数十万人に上る。当社のオンライン診療を利用する患者は、医師にこの情報を提供できる。さらに、3000万人強のDPCデータに加え、健保組合の585万人のレセプト(診療報酬明細書)データを4月に取得した。このビッグデータをAIに読み込ませた問診システムも来年春には実装する予定だ。
オンライン診療を受けられる場所も、医療機関以外で看護師が常駐し、コロナ感染のリスクの少ない利便性の高い施設に設置することも検討中だ。
(岩崎博之・メディカル・データ・ビジョン社長)