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投資・運用 本当に頼れる信用金庫

信金って何? 相互扶助の非営利組織 「面倒見の良さ」が売り=編集部

 信用金庫は「相互扶助」を理念とする非営利の協同組織で、会員の出資で成り立っている。営利の株式会社組織である銀行とはその点で大きく異なる。(本当に頼れる 信用金庫)

 利用できるのは、その信金の営業地区に居住・勤務する個人と事業者で、ローンや融資を利用するには会員になる必要がある。サービスを利用できる事業者は小零細企業で、従業員数や資本金で制限が設けられている。事業規模が拡大し、対象から外れた企業は信金を「卒業」し、地方銀行や大手銀行からお金を借りることになる。

 同じ地域金融機関でも、株式会社として利益の追求を目的とする地銀は、大きなもうけが期待できる大規模な事業者に目が向きがちだ。信金は協同組織という性格上、家族経営の飲食店や工場など、銀行との取引が難しい小零細企業を支える使命を負っている。その分、貸出金利は地銀と比べ0・5%程度、メガバンクと比べると1・0%程度高い傾向にある。

 地域の小零細企業が信金と付き合うのは、何といっても信金が売りにしている「手厚さ」や「面倒見の良さ」に理由がある。営業地区内にくまなく支店を置いており、担当者が取引先に足を運ぶ回数の多さは、他の金融機関とは比較にならない。

 バブル崩壊後、支店統廃合と人員削減によって経費を切り詰めてきた大手銀や地銀に対し、信金は支店数をほとんど減らしていない。江戸川大学の杉山敏啓教授の集計によると、今年3月の金融機関の有人店舗数を30年前(1989年)と比較すると、大手銀が1978店舗で49%減、地銀が9791店舗で19%減となっているのに対し、信金は7237店舗で7%減にとどまる。

配当率は平均2・9%

 貸出金の不良債権化を何より恐れる銀行は、融資先の経営状態が悪化した途端に「冷たくなる」と言われるが、その土地で生きていかなければならない信金はそうもいかない。「最後まで付き合ってくれる」金融機関であると言える。

 信金に口座を作って預金するだけなら、会員になる必要はない。信金の預金残高は145兆円と30年前と比べ92%増えており、大手銀(541兆円・23%増)、地銀(351兆円・62%増)と比べても増加率が高い。預金者の内訳は個人が77・5%を占めており、高齢化を背景に年金積み立てなどの利用者が増えている。信金の中には、一部の定期預金の金利を他の金融機関より高めに設定しているケースもあり、預金者にとってはお得感があると言えそうだ。

 信金の最高意思決定機関は、株式会社の株主総会に相当する「総会」だ。株主が1株当たり1個の議決権を持つのに対し、信金の会員は出資額にかかわらず1人1個、平等に与えられている。信金が事業で得た剰余金は、出資額などに応じて会員に配当される。編集部が全255信金を対象に集計したところ、2020年3月期の普通出資金に対する配当率の平均は2・9%。最も高いのは高知信金の10%だった。

(編集部)

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