教養・歴史 ちょっとだけ自分が好きになれる7つの方法
人生のパフォーマンスを高めるにはまず「言葉づかい」に気をつけるべきシンプルな理由(有川真由美)
「まさか自分にできるワケがない」
「どうせ自分には才能も魅力もない」
など、自分に対してはついネガティブな評価をしてしまいがちです。
ですが、高いパフォーマンスを発揮している人は、自分に自信を持っているだけでなく、ポジティブな言葉づかいをしている、と有川真由美さんは言います。
『「ダメな自分」がちょっとしたことで好きになる7つの魔法』(毎日新聞出版)から、「自分を好きになるコツ」を転載します。
「ダメな子」と言われていると本当にダメになってしまう……
「言霊」といわれるように、発した言葉は感情や考え方、行動、人間関係など、すべて
のものに〝魔法〟のように作用する力があります。
言葉は、私たちが思っているよりもずっと強いパワーで、自分を作り、現実を作り、未来を作るのです。
幼い子どもは、親から
「どうしてあなたはできないの!」
「ダメな子ね」
などと言われていると、自分を「ダメな子」と思い込むようになります。
「あなたはやればできる」
と言われていると、
「できる子」と思い込んで振る舞うようになります。
人間は頭の中で1日6万回おしゃべりしている
私たちはつねに自分自身に言葉をかけ続けています。
一説によると、意識するしないにかかわらず、頭のなかでは一日6万回のおしゃべりをしていて、人にもよりますが、その8割はネガティブなことだといいます。
自分にかける言葉で、もっとも大事なポイントは、自分を「信頼できる人」として扱う
ことです。
「信頼する」とは、信頼に値する材料があるないにかかわらず、どんな自分であっても信じ続けるということ。
私たちがやっていることは、自分をどの程度、信じるかで決まっているのです。
「まさか自分ができるワケがない」
「どうせ自分は才能も魅力もない」
と自分を信じられず、否定的な言葉を使っている人は、自然にそんな自分になります。
「自分には◯◯の力がある」
「自分は世界で活躍する」
「自分はお店をもつ」
と自分を信じ、肯定的な言葉をかけている人は、そうなっていくでしょう。
自分を信頼する言葉は、無意識のなかに新しいソフトをインストールするように日々の
行動も変えていきます。
大げさではなく、人生もガラリと変えてしまうのです。
「認知(とらえ方)」を変えるために、言葉を変える
あなたは「仕事でミスをした」とき、自分にどんな言葉をかけていますか?
「最悪。なんてダメな私……」と自分を責める。
「みんなになんて思われるのか」とまわりの目を気にする。
「私だけのせいじゃない。あの人にも原因がある」と自分を擁護する。
「どうしよう。大変なことになるかも」と先のことを心配する……。
ネガティブなことが起きたら、ネガティブな反応になるのは当然。
どんな言葉をかけてもいいのです。
それも自分らしさであり、そうなる背景があるのでしょう。
言葉の魔法を使うポイントの二つ目は、「ネガティブになっている」と気づいたら、
「そんなことではダメ」
と否定するのではなく、
「そうなのだ」
と気づいて、いったんそれを認めること。
ありのままの自分を受け入れることで、これからの自分を変化させていくための準備が整うのです。
さて、ここからが本題です。
あなたは、どんな言葉を自分にかけていますか?
なかには、自分の内側に意識が向けられず、最初の言葉のままで自分をひたすら責め続けていたり、まわりの目を気にし続けていたりする人もいるかもしれません。
しかし、できるだけいい方向に進めようとするなら、ポジティブな言葉を自分にかけることが大事です。
どんな言葉をかけるかに正解はありません。
「起きたことはしょうがない。謝れば済むことだ」でも、「余計なことは考えず、淡々と処理しよう」でも、「こんなときこそ、だれかに助けてもらおう」でも、なんでもいいでしょう。
「つねにポジティブでなければ」
ではなく、
「ここはポジティブにとらえよう」
と意識するだけで、気分もパフォーマンス力も変わり、まわりの反応も変わってきます。
日々の生活には、いいことだけでなく、そうでないことも容赦なく起こります。
ものごとはただそれが起きただけ。
それをどうとらえるかは自分で決めていいのです。
ネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換する
先日、スポーツジムで体脂肪を測ったら、1か月で1キロ減っていました。
「結構がんばったのに、1キロしか減ってないんですね」
と意気消沈していたところ、トレーナーさんに
「1キロも減るってすごいことですよ。体脂肪はなかなか減らないですから」
と返されました。
そういうポジティブな言い方で人は嬉しくなり、「今日もがんばろう」と明るい気持ちで取り組めるようになるものです。
締切だって「あと3日しかない」を「あと3日もある」と考え直すと、気分が違います。
ものごとは肯定的にとらえたほうが、単純に気分がいいものです。
意識はひとつの方向にしか目を向けられないので、肯定すると、否定する気持ちは打ち消されるのです。
状況は選べなくても、言葉を選ぶことはだれでもできるでしょう。
同じことでも、表現によって見方が変わります。
「自分は優柔不断」……「自分は慎重」、
「あの人は頑固」……「あの人は意志が強い」、
「冷たい人間関係」……「気を遣わない人間関係」、
「つまらない仕事」……「淡々とできる仕事」、
「忙しいスケジュール」……「充実したスケジュール」
というように。
「ない」を「ある」に換える、ポジティブな表現にすることで、気分や行動がきっと変わるはずです。
「この状況をポジティブに表現すると……」と考えるクセをつけましょう。
自分に対しても、
「そんな考えじゃダメでしょう!」
と責めるのではなく、
「ちょっと考え方を変えるだけで、いい方向にいくよ」
と肯定してあげましょう。
本来、人間は明るい方向を見るのが好きなのに、少しばかりネガティブな部分が見えると、それにとらわれて、怖がり過ぎてしまう傾向があります。
「ポジティブすぎるかな」と思うくらいが、ちょうどいいのです。
あなたの心をネガティブな思い込みで曇らせないようにしてください。
有川真由美(ありかわ・まゆみ)
作家、写真家。鹿児島県姶良市出身。熊本県立熊本女子大学生活科学部生活環境学科卒業、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。
化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。46カ国を旅し、旅エッセイも手掛ける。
「いつも機嫌がいい人の小さな習慣」(毎日新聞出版)など著書多数。
内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員(2014-2015)。日本ペンクラブ会員。