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経済・企業 インタビュー

みずほ銀行「週休3、4日制」導入の衝撃 「働き方改革」ならぬ「働きがい改革」で目指すもの

藤原弘治 みずほ銀行頭取
藤原弘治 みずほ銀行頭取

 コロナ禍で働き方改革が急務となっている。みずほ銀行の取り組みを藤原弘治頭取に聞いた。

(聞き手=浜條元保・編集部)

── みずほ銀行の働き方改革の取り組み状況はどうか。

■当行では「働きがい改革」に取り組んでいる。

従来のように会社ではなく、自分でライフデザインをする時代になった。

そのための選択肢を提示していく。

なりたい自分、市場価値を高めることが、顧客や取引先に付加価値の高いサービスの提供につながる。

── 具体的に何をするのか。

■時間と場所、方法の三つに分けて説明しよう。

まず、時間については、11月からフレックスタイムを拡大した。

さらに組合との協議を経て12月から週休3、4日制を導入する。自分磨きのために学校に通ったり、両親の介護に充てたりと、自分たちでライフスタイルをデザインしてもらう。

── 場所は?

■自宅で仕事をする在宅勤務のほか、首都圏を中心に9カ所のサテライトオフィスを設置する予定だ。

大手町の本部と新しく完成したみずほ丸の内タワーが本社機能となる。

ここに銀行、信託銀行、証券を集約する。

みずほ丸の内タワーは、仕事に集中するためのブースや他部署と議論するスペースを作った。

外部の人とコラボレーションするためのスペースも用意した。

「ワンみずほ」から「次のみずほ」にいく象徴にしたい。

── 方法は?

■在宅勤務を進めた結果、出社する社員の多能化、仕事の幅が広がった。

兼業・副業は昨年10月から取り組んでいて、ライフデザインを描くうえで、働き方の幅が広がっている。

使える時間、場所、方法を変えて、働きがいのある職場を作るのが、大きな目標だ。

コンサルスペースを倍に

── コロナは以前からあった課題を顕在化させた。

■取引先と話していると、BtoB(企業間取引)だけでなく、BtoC(個人ビジネス)への転換、デジタル化といった以前からあった課題を顕在化させたとよく言う。

将来は過去の延長にはないと、私は感じている。

夜の会食がなくなり、私自身も自宅で考える時間が増えた。

取引先の経営者も同じだ。

今後の会社をどうすべきか、を真剣に考えている。

あるべき姿を描く能力はすごく大事だ。それをアドバイスする銀行マンとしての知見を養う必要がある。

── 週休3、4日という働き方を具体的に説明してほしい。

■対象は銀行や証券、信託銀行などグループの主要6社・4万5000人が対象だ。

年齢や役職は関係ない。

強制ではなく、自分のライフデザインを考える中で、選択肢の一つにしてほしい。

みずほとしても新たな挑戦で、決して簡単なことではない。

だが、そうした仕組みを利用することで、人生をより豊かにし、働きがいを高められるだろう。

── 営業店体制の見直しに踏み切る狙いは何か。

■顧客との接点の観点から最適化を図る。

リアルとリモートのサービスの充実を併せて考えている。

従来の事務処理からコンサルティングの場に抜本的に変える。

「個人も法人も何でもできる統合店」から「みずほにしかできない統合店」というイメージだ。

具体的には、個人と法人をセグメント別に再編する。タブレットに移行することで、窓口業務を半減、店舗のコンサルティングスペースを従来の倍にする。

(本誌初出 藤原弘治 みずほ銀行頭取 「週休3、4日はライフデザインを考える上での選択肢の一つ」 20201124)


 ■人物略歴

藤原弘治 ふじわら・こうじ

 1961年生まれ。85年第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。みずほフィナンシャルグループ常務執行役員などを経て、2017年より現職。

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