教養・歴史

「もっとがんばらなきゃ」より「もっと快適に」のほうがパフォーマンスを高めるワケ(有川真由美)

困難な状況を目の前にすると真面目な人ほど「もっとがんばろう」と思いがちです。

それ自体は正しいことですが、一方で「がんばれない自分はダメだ」という結論に陥りやすくなります。

むしろ、他人から評価されている人、高いパフォーマンスを発揮している人ほど、まず「自分を主人公に」していると有川真由美さんは言います。

「ダメな自分」がちょっとしたことで好きになる7つの魔法』(毎日新聞出版)から、「自分を大切にするコツ」を転載します。

がんばるより、時間、場所、人間関係の環境整備をする

「やる気が出ない」

「継続力がない」

「集中できない」

「悪習慣がやめられない」

といった状況に陥ったとき、どこに原因があるでしょうか。

原因は自分の〝意志〟にあると思って、自分を責めていませんか?

「もっと意志を強くもたねば」

「もっとがんばらなきゃ」

と、自分を奮い立たせている人もいるでしょう。

しかし、自分の意志に頼りすぎると、自分が頼りなく思えてしまうもの。

むしろ、「人間には弱いところもある」という考え方を前提にして、〝環境〟を整えていく必要があるのです。

といっても、住む場所や職場を変えるといった大きなことだけではありません。

行く場所やつき合う人、手にするもの、見るもの、聞くもの……など、

人はよくも悪くも

「なにと出会うか?」

によってさまざまな影響を受け、考え方や行動を決めています。

環境を変えることで自然と自分も変わる

たとえば、料理が苦手だった人が、料理好きな友人をもったり、自分で料理せざるを得ない状況になったりすることで、その楽しさに目覚めて上達することがあります。

また、仕事への意欲が薄れて、やめたいとまで考えていたのに、週末に山登りをするようになってから仕事のモチベーションも高まったという人もいます。

私は寝室に体重計を置いただけで、体重をキープできるようになりました。

毎日、起きてすぐに測定できるので、増減の小さな〝システムエラー〟が確認できて、自然に食事を抑えたり、ちょこちょこ運動したりするようになったのです。

つまり、環境に変化を加えることで、自分を作っていけるということ。

「自然にそうなってしまう」

「そうせざるを得ない」

という環境を自分に与えることで、意志の力だけに頼らなくても、前に進む力になるというわけです。

「不要」「不適」「不快」のモノはすぐに捨てる

自分を好きになる環境整備のために、だれにでもカンタンにできることは、

「要らないモノ」

「好きではないモノ」

を処分することです。

モノを処分することには、

「探す時間が減る」

「無駄な買い物をしなくなる」

「空間が広くなる」

などさまざまな効果がありますが、いちばんは

「自分にとって、必要・不必要がわかるようになる」

ということではないでしょうか。

捨てられない人は、「これは使えるか」とモノを中心に考えているもの。

「いつか使うかも」

「もったいない」

という執着があるため、モノに振り回されてしまう。

そんな人は、モノに埋もれた部屋で集中できなかったり、年齢や時代に合わなくなった服を着ていたり、残り物の料理をつい食べ過ぎてしまったりすることもあるでしょう。

捨てられる人は、

「いまの自分は使うかどうか」

と自分軸で考えているので、

「要らない」

と思ったら、その都度、サクッと捨てることができるのです。

捨てる習慣は、「自分軸」で取捨選択する習慣です。

モノだけでなく、ムダにイライラする感情、他人から押し付けられる価値観、ごちゃごちゃした情報、行きたくないイベントなどを

「それは要らない」

として、手放せるようになります。

自分を主人公にして、それにふさわしいモノを選ぶようになります。

つぎの【3つの捨てるもの】を基準にすると、捨てやすくなるでしょう。

「不要」なモノ:使っていない、複数あるなど、なくても困らないモノ

「不適」なモノ:

色、サイズ、デザイン、価値観など、いまの自分に合わないモノ

「不快」なモノ:

使い心地がよくない、しっくりこないなど、心地よくないモノ

要らないモノは手放す習慣をもつと、暮らしの満足度が上がります。

モノ、時間、人間関係など、本当に大切なものを大切にする習慣ができるからです。

身のまわりに「気分をよくするもの」を置く

レストランなどのトイレに、名言が綴られたカレンダーが貼ってあったり、一輪挿しが置かれていたりして、ほっこりすることがあります。

家の玄関などに、正月飾りやひな祭り、節分などのしつらえがしてあることがあります。

客人をもてなすだけでなく、飾っている本人もゆたかな気分になるでしょう。

大げさなものではなくても、落ち着くもの、クスッと笑えるもの、気分を上げるものな

ど、身のまわりに「気分をよくするもの」を集めることは、「自分を応援してくれるもの」

を集めることでもあります。

好きな風景のポスター、家族の写真、目標を記す張り紙、お気に入りのキャラクターグッズ、元気になる音楽、癒やされるアロマ、生命力を感じる苔玉、触って気持ちのいいものなど、ほんの少しでも気分がよくなるものであれば、なんでもいいでしょう。

これは、単に気分をよくするだけではない効果があります。

まわりの環境に流されて気分が変わるのではなく、積極的に自分で環境を作ったり、それに目を向けたりすることで気分を変えようとする「幸せになる考え方」がクセになるのです。

たとえば、仕事に行きたくないときも、

「会社に行くのは嫌だけど、行くまでの景色はいいな」

「自分の仕事のあの部分は好き」

「ランチは〇〇を食べよう」

「仕事帰りには〇〇をしよう」

と、気分をよくすることに目が向くようになります。

〝気分〟を意識するのは女性的な思考のようですが、男性でも「気分をよくするもの」を

身近に置くことで、ストレスを回避したり、心に余裕が生まれたりします。

ストイックなスポーツ選手や経営者など結果を出したい人ほど、五感を使って自分を立て直す環境作りに気を配っているものです。

少しでもいい環境を作ることは、少しでもいい自分を作ることでもあるのです。

有川真由美(ありかわ・まゆみ)

作家、写真家。鹿児島県姶良市出身。熊本県立熊本女子大学生活科学部生活環境学科卒業、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。

化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。46カ国を旅し、旅エッセイも手掛ける。

いつも機嫌がいい人の小さな習慣」(毎日新聞出版)など著書多数。

内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮しの質」向上検討会委員(2014-2015)。日本ペンクラブ会員。

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