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経済・企業 コロナに勝つ転職

カリスマ転職エージェントが断言! リストラでも「割増退職金をもらって転職する」勝ち組人材はここが違う

25年在籍したリクルートでは入社1年目に営業成績1位。

累計売り上げ実績の歴代トップを記録したカリスマ転職エージェント。

現在は独立し、広く転職に関する講演やセミナーなども精力的に行う森本千賀子さんに「売り時」の見極め方を聞いた。

(構成=加藤結花・編集部)

── コロナ禍の転職の状況は。

退職金の割り増しや再就職支援を行う早期退職プログラムを用意する会社が増えてきているので、プログラムを利用するか、今の会社に残るか様子見している人が多い印象だ。

一方で、すでに動き出している人もいる。

コンサル会社に勤めていた30代の男性は5月に相談に来て、EC(電子商取引)の上場企業に転職を決めた。

彼は、多忙だった仕事がコロナで落ち着き、時間ができたことで今後の自分のキャリアプランを考えるようになり、将来性やスキルアップの観点から決断した。

コロナの影響で企業も採用には慎重になっており、新卒などのポテンシャル採用は絞っているところは多いが、必要な人材は採用している。

特に、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の人材や業務効率・生産性の向上、新規事業に向けた専門人材などは、すぐには育成できない分、外部から欲しいと企業の採用熱は高い。

── 転職に成功している人は?

専門スキルと覚悟があり、変化対応力がある人。

特に、コロナで社会が大きく変わっている中で変化に順応できる人材は高く評価される。

その逆で、たとえ大手企業に長年勤務する優秀な人材でも入社以降、同じ部署にずっといるような人は難しいだろう。

同じ会社で働いていたとしても、グループ会社に出向したり、副業でスタートアップの役員をするなど、変化を経験しているとそれが強みになる。

ある商社勤務の50代の男性は、子会社や外資系企業を経験していたため変化対応力に優れており、メディア関係のベンチャーへのキャリアチェンジに成功した。

あとは、地方を見るのも一つの手だ。

都市で働いている会社員からすれば年収は下がるだろうが、それが問題なければ地方にはニーズはある。

首都圏のメーカー勤務で財務関連の仕事をしていた40代男性は、中国地方のベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)に5月に転職した。

元々、「田舎に住みたい」という希望があり、お子さんが大きくなったこともあり決めたという。

ワークライフバランスを重視した例だ。

割増退職金があるうちに

── 悩んでいる人にどう助言するか。

皆さん「(転職先に)成長ベンチャーはどうか」と相談されるが、簡単ではない。

いざ転職すると、人間関係はもちろん、仕事の内容もがらりと変わる。

大企業のような経営資源がない中で結果を出さなければいけないし、働き方もおそらく9時5時とはいかない。

それでも転職するという覚悟がある人でなければ今の会社に残ったほうがいい。

ただし、覚悟がある人は、今すぐ動き出したほうがいいと考える。

理由はコロナの終息が見通せないからだ。

もちろん、もう少し待てば転職市場が良くなるという可能性もあるが、ことコロナについては予測が難しい。

いつになるか分からないタイミングを中高年の転職希望者が何年も待つことはリスクだろう。

早期退職についてもこれからどんどん増えてきて、世の中に求職者があふれることになる。

また、割増退職金も時間が経過するにつれ、減額される可能性がある。

転職を希望しており、覚悟がある人はまさに今、動き出したほうがいいとアドバイスする。

(本誌初出 INTERVIEW 森本千賀子 morich(モリチ)社長 「覚悟がある人は今、動くべきだ」 20201124)


 ■人物略歴

森本千賀子 もりもと・ちかこ

 1970年生まれ。獨協大学卒。93年リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして、大手からベンチャーまで幅広い企業を担当。2000人超の転職に携わる。2017年3月に株式会社morichを設立し、経営幹部の採用支援を中心に活動中。

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