投資・運用

インターネット取引が心配な人でも安心!「買ってはいけない投資信託」を見分けるための「7つのチェックポイント」

ネットの情報に惑わされないために・・・
ネットの情報に惑わされないために・・・

「インデックスファンドなら儲かる」「日本株はやめたほうがいい」などなど、インターネット上にはさまざまな投資情報があふれています。

しかし、記事によっては互いに矛盾する内容が書かれていたりと、結局どの情報を信じていいのかさえ判断が難しい状況です。

投資信託の選択を誤ると、手数料のわりにリターンが少なかったり、運用成績が悪く突然償還になったりすることも中にはあります。

そうした「買ってはいけない投資信託」をどうしたら見抜けるようになるでしょうか。

お金の不安から一生自由になれる 考えない投資生活』(飛鳥新社)を上梓したファイナンシャルスタンダード株式会社代表福田猛氏が「投資信託の見極め方」を解説します。

ネット上にはこんなにアップされている!

今回は、資産運用の基礎知識として投資信託の商品を選ぶ際の7つのチェックポイント をご紹介します。

証券会社や運用会社のウェブサイトで見ることができる各商品の「目論見書(投資判断に必要な情報を説明した書類)」や「月次レポート」、「運用報告書」などをチェックする際の参考にしてください。

① 純資産

投資信託の純資産が多ければ、「みんなが買っているなら儲かるのだろう」と買いたくなります。

しかし、投資信託の世界では純資産が多ければ良いというわけではありません。

投資対象が「世界」や「大型株」なら残高が大きいと安心感もありますが、「中小型株式」で運用する投資信託だと、純資産は大きくない方がいいのです。

国内の中小型株式で運用する投資信託は、TOPIXや日経平均株価よりもパフォーマンスが良いものがけっこうあります。

大企業ばかりを集めた投資信託ではなく、ファンドマネージャーが投資先を吟味し、優れた企業へ投資することで長期的に大きなリターンにつながっているものも少なくありません。

ただこれらの中小型株式は規模が小さいこともあり、日々の売買されている金額も少額です。一企業への投資を大きくはできません。

国内の中小型株式で運用する投資信託なら純資産が500億円以下くらいが理想だと思います。

もちろん純資産が少なすぎるのも良くありません。運用会社は残高に対して一定の手数料を受け取っていますから、残高が少ないと、儲けも少ないということです。

そして、残高が少ないままだと償還してしまうリスクもあります。

100億円以上はあった方がいいでしょう。

また、株価指数に連動するインデックスファンドは、コストが安く人気がありますが、コストが安いイコール「運用会社はあまり儲からない商品」です。

そのため、純資産が大きくないと償還されるリスクもあります。

そのように「何を投資対象としているのか」も合わせて、純資産をチェックするとよいでしょう。

② 運用期間(信託期間)+償還日

目論見書では「信託期間」と表記されます。

「10年ぐらいは運用している商品」を選んだほうが賢明です。

10年の市場環境のなかで、どのような運用をしてきたのかを確認できます。

さらには、その投資信託の得意・不得意もある程度確認できるものです。

また、長期間保有するなら、「償還日は無期限になっている商品」だと安心できます。

期限が決めてあると、途中で運用を止めないといけません。

③ 手数料

先述のとおり、投資信託のコストは、主に購入手数料と信託報酬です。

現在は、ネット証券だったら購入手数料はゼロのものがほとんどです。

したがって、購入時に手数料を払うのはナンセンスです。

店舗での対面型ではいまだに3%が多いのですが、わざわざ店舗で買うのはおすすめできません。

ちなみに、購入手数料がかからない投資信託をノーロード・ファンドと呼びます。

購入手数料のことをロード(load)と呼ぶことから、その名前がついています。

信託報酬は、インデックスファンドで安いものは年率0・1%くらい、アクティブファンドは年率1〜2%くらいです。年率2%だったら、かなり高いと思います。

信託報酬は日割りで計算されます。

例えば、信託報酬が年率2%の投資信託を50万円購入した場合、年に約1万円となります。

仮に年間で10万円のリターンがあったとしても、1万円は手数料で引かれるということです。

手数料は、安ければいい、高ければ悪いというものではありません。

しかし、手数料はリターンを押し下げますから、手数料を払う価値がある投資信託なのか、きちんと考える必要があります。

④ ベンチマーク(基準)

アクティブファンドはたいていどの商品も、他の商品と成績を比べるためのベンチマークが設定されています。

その場合は投資対象の価格指数(インデックス)と比べて、どれくらいパファーマンスが良いのかを確認するとよいでしょう。

また、指数(インデックス)そのものに投資するインデックスファンドは、どれだけインデックス通りに推移できているかが重要です。

いずれのケースも運用会社の公式サイト等の月次レポートを見れば載っています。

⑤ 商品の目的・特徴・実績

どういうコンセプトでどのような銘柄や資産クラスに投資するのかという説明は、知っておかなければならない必須情報です。

上位に組み入れている銘柄は目論見書や月次レポートに出ているので、ざっくりとでも把握しておくと商品の特徴がわかります。

そして、なんといっても大切なのは実績です。

実績は、リターンだけではなく、リスク(価格変動)も見る必要があります。

大きなリターンがあるものは、同時に大きな価格変動を伴う可能性があるからです。

なるべく価格変動は低いほうが安心できる一方、リターンはなるべく大きいほうが良いですよね。

これを調べるには、「シャープ・レシオ」と呼ばれるデータを見ます。

シャープ・レシオは、簡単に言えばリターンをリスクで割って計算される数値です。

この数字が高いほど、効率的に収益をあげていることになります。

シャープ・レシオはモーニングスター社など、投資信託を評価するサイトやネット証券のHPなどでも検索できます。

興味がある人は一度見てみましょう。

⑥ ファンドマネージャー

投資信託は、誰が運用するかによって運用成績が大きく変わります。手数料が安いかどうかなど、簡単に吹き飛んでしまうぐらいの違いが出ます。

たとえ10年以上の実績がある商品でも、ファンドマネージャーが途中で交代したらそれまでのトラックレコード(過去の実績)は役に立たなくなります。

すごく成績の良い商品が、ファンドマネージャーがどこかに移ったらパフォーマンスが悪化したという例もあります。

これは分析しづらく、一般の人はそれだけの差が出ていることにはなかなか気づけません。

けれどやはり、どんなファンドマネージャーが運用しているのかは知っておくべきだと思います(ただ、日本では公開していない商品が多いのは残念です)。

私たちは運用会社に直接確認しますが、個人投資家の方々ではすこしハードルが高いかもしれません。

ただ近年は、ファンドマネージャーが書籍を出したり、新聞や雑誌のインタビューに答える機会が増えたりしていますので、インターネットや雑誌などで情報を集めてみるのも楽しいと思います。

⑦ 運用会社(委託会社)

まず窓口となっている販売会社ではなく、「運用会社」を調べるようにしてください。

運用会社とは、名前のとおり実際にファンドを運用している会社です。目論見書では「委託会社」と表記されます。

皆さんも家電は量販店という窓口で買うにしても、その家電メーカーの商品の性能や評判を調べてから買うと思います。

そして、量販店には他店よりも安く売っているかどうかを求めることが多いはずです。

投資信託の世界も同じ構図です。家電メーカーがファンドの運用会社にあたるわけです。

これは、運用会社のHPを調べてみるのが一番です。

主に次のようなポイントを確認してみてください。 

・国内の会社か外資系か

・どのような商品を運用しているのか

・今までにどれぐらいの実績を上げているのか

・どのようなファンドマネージャーがいて、どのような運用体制なのか

腕のいいファンドマネージャーがいるなら、無名の会社であってもいいパフォーマンスを出せます。

そういうことからも、会社の規模が大きいほうが信頼できて、小さい会社はダメという判断基準にはなりません。

福田猛(ふくだ・たけし)

資産形成コンサルタント。ファイナンシャルスタンダード代表取締役。一般社団法人ファイナンシャル・アドバイザー協会理事。

大手証券会社を経て、2012 年に起業。金融機関に属さない「IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)」として、独立した立場でこれまで数千人の資産運用をサポート。

2015 年、楽天証券IFA サミットにて総合1 位と表彰される。

600 億円以上を預かる日本のトップIFA 法人となり、日本経済新聞や経済専門のテレビ番組、雑誌などの出演・取材・寄稿も多数。

著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)、『プロがこっそり教える資産運用のはじめかた』(毎日新聞出版)等がある。

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