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法務・税務税務調査 コロナでも容赦なし!

国税の「最強部隊」 「資料調査課」の実態=佐藤弘幸

国税は日々、膨大な情報を取集している
国税は日々、膨大な情報を取集している

国税庁は現在、約5万6000人の職員を擁し、全国12の国税局、524税務署がある。

国税局には総務部、課税部、徴収部、調査部、査察部などがあり、一般的には「マルサ」(国税局査察部)が脱税を摘発する部署としてその名を知られている。

だが、大型、悪質な案件の情報収集能力で群を抜くのは「課税部資料調査課」だろう。

隠語で略称の「リョウチョウ」、「料」の字の米偏から「コメ」などと呼ばれている。

資料調査課はその地味な名称とは裏腹に、税務署で対応が難しい富裕層や政治家、宗教、国際取引などをターゲットとする課税部の中核部隊である。

かつて国税局の資料調査課に勤務した筆者の経験からすれば、資料調査課の職員1人当たりの年間増差所得(調査によって把握した所得)は少なくとも数億円にはなり、査察部のそれを大きく上回る。

では査察部と資料調査課の違いは何なのか。

査察部は国税通則法(旧国税犯則取締法)に基づく刑事事件(脱税)の告発を目的とした捜索令状ありの「強制調査」だが、不正の裏付けがあってかつ一定規模以上の脱税額の案件しか調査できない。

一方、資料調査課の調査は納税者の同意が必要な「任意調査」だが、確実な証拠がなくとも「クサい」と思えば調査を実施できる。

任意調査というと、納税者は調査を拒否できると考えがちだが、そうはいかない。

調査官には国税通則法に基づく「質問検査権」があり、納税者が正当な理由なく調査を拒んだり虚偽の回答をした場合には罰則がある。

「間接強制調査」と言われるゆえんだ。

また、「この引き出しを開けてもいいですか」などと問う調査官に、納税者が「いいですよ」とさえ答えれば、事実上どんな場所でも調査することができる。

超A級のタレコミ

コメの最大の武器は蓄積された膨大な情報量と分析能力、そしてスピード感のある機動的な調査展開だ。

申告書や法定調書(法律で税務署へ提出を義務付けられた書類)などに加え、企業に入り込んで財務情報を入手したりすることもある。

加えて、隠語で「ブタレ」と呼ばれるタレコミ情報も日々、膨大に寄せられており、外部からの情報は「課税1部」の「統括国税実査官(情報担当)」に集約される。

統括国税実査官(情報担当)は資料調査課から派生した組織で、「国税版CIA」と呼んでもいいほど最強の情報部隊である。

タレコミ情報の量は1カ月にA4ファイルで両手で広げるほど集まり、中には「超A級」とも呼べる情報が寄せられることもある。

社長の元愛人や解雇された元経理担当者、契約を切られた会計事務所など、怨恨(えんこん)から来る情報は確度の高い超A級に該当する。

コメには人材面でも、税務署の「トクチョウ」(特別調査班)、「ハンカ」(繁華街担当部署)などで鍛えられた猛者たちが集まっている。

彼らは資料の詰まった重さ10キロのかばんを常に持ち歩き、1日十数時間のハードワークもいとわない。

調査案件のほとんどが予告なしで踏み込んだりもするので、怒鳴り合いも日常茶飯事。そうして日々、公平・公正な課税に走り回っている。

ただ、褒めてばかりもいられない。

刻々と変化する企業や個人の経済活動に対して、国税側の対応は時代遅れの感が否めず、特に国際的な租税回避スキームなど複雑化する事案への対応は、お世辞にも十分とは言えないからだ。

(佐藤弘幸・元国税調査官、税理士)

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