経済・企業日経平均最高値への道

日本株が上がるワケ1 来期1株利益は4割増も 十分な業績面の裏付け=河合達憲

     日経平均株価が2月16日に付けた年初来高値3万714円は、足元の企業業績からすると割高との指摘がある。しかし、企業業績予想と株価指標(バリュエーション)から十分に説明できる。(日経平均最高値への道)

     日経平均株価は理論上、EPS(1株当たり利益)×PER(株価収益率)で計算できる。日経平均が急激に上昇し、3万円を超えた2月中旬時点での予想EPSは1300円程度だった。PERは12〜18倍程度で推移するが、株価上昇局面では期待値が高く、PERも高めに推移する。PERを18倍として計算すれば、理論上の日経平均株価は1300円×18倍で2万3400円。確かに、3万円とは乖離(かいり)している。

     株価が急激に上昇したのは、市場が今後の業績回復を織り込んだからだ。2月15日に発表のピークを迎えた3月期第3四半期(4〜12月)決算で下方修正したのは220社だったのに対して、上方修正したのは878社に上った。

     市場が第3四半期までの企業業績の回復ぶりを評価した上で、更に22年3月期の増益を織り込み、予想EPSが上がったととらえるのが妥当であろう。2月時点でのEPS1300円は、21年3月期前後の最終損益を想定しての数値だ。筆者は、22年3月期の日経平均EPSが、前年同期比3割増になる可能性が高いとみている。3割増ならば、22年3月期のEPSは、1300円×1・3倍=1690円。このEPSを使えば、株価はEPS1690円×PER18倍=3万420円。2月16日の最高値は、22年3月期の業績回復を織り込んだとみれば、何らおかしくない数字だ。

    年内3万3000円

     前年度比3割増というのは、期初での保守的な見立てに過ぎない。今後、ワクチン接種が進み、企業業績の回復傾向が明らかになるにつれて、尻上がりに業績予想が高まるだろう。そうすれば、EPSは前年度比4割増も射程に入り、1300円×1・4倍=1820円に上昇する。理論上の日経平均はEPS1820円×PER18倍=3万2760円。年内3万3000円もあり得るのだ。

     ただし、日経平均株価は2月16日をピークに調整している。これは、第3四半期決算発表のピークが前日の15日であったことと関係する。株価は、第3四半期決算までの好調ぶりを確認し上昇したものの、一服感が出たのであろう。この時点で、株価は、25日移動平均線と5%以上乖離していた。テクニカル分析では、25日移動平均線と株価が、平時ならばプラスマイナス3%、変動幅が激しい時ではプラスマイナス5%乖離すれば、反発・反落のサインである。

     再び緊急事態宣言が出た1〜3月期の業績不安も、株価調整の一因とみられる。

     今後、調整局面があるとすれば、夏前後だろう。東京五輪・パラリンピックの中止・延期が決まれば停滞感が、開催したとしても閉会後の景気減速懸念が高まるリスクがある。市場心理は冷えて、PERは15倍程度に下落する。その場合、EPSが1700〜1800円を維持したとしても、日経平均は2万6500円程度に下落するだろう。

    (河合達憲・auカブコム証券チーフストラテジスト)

    インタビュー

    週刊エコノミスト最新号のご案内

    週刊エコノミスト最新号

    4月27日号

    未来産業の本命 新エネ、DX、デジタル通貨第1部 エネルギーとデジタルが生む革新14 脱炭素の大開拓時代 革命は日本から始まる ■浜田 健太郎/村田 晋一郎16 新エネ(1) 洋上風力 潜在力は原発500基分 ■宗 敦司19 (2) 送配電 「直流送電」で再エネ普及へ ■南野 彰24 (3) 蓄電池 [目次を見る]

    デジタル紙面ビューアーで読む

    おすすめ情報

    最新の注目記事