経済・企業

「ビッグデータとAIが不動産の価値を見極める」=巻口成憲・リーウェイズ代表取締役CEOインタビュー

    撮影 武市公孝
    撮影 武市公孝

    巻口成憲 リーウェイズ(LEEWAYS)代表取締役CEO データで不動産に新風

     デジタル化が遅れているといわれる不動産業界。蓄積した膨大なデータとAI(人工知能)を駆使し、新たな扉を開いた。

    (聞き手=中園敦二・編集部)

    不動産価値査定AIクラウドサービス「Gate.」のイメージ リーウェイズ提供
    不動産価値査定AIクラウドサービス「Gate.」のイメージ リーウェイズ提供

     投資用不動産の価値をビッグデータとAIを使って分析するクラウドサービス「Gate.」(ゲイト)を開発し、法人向けに販売しています。不動産情報会社などがインターネットで公開している物件や家賃などの情報を2008年から収集していて、現在は2億件超になります。AIを使って、個別の不動産が今後生み出す収益の見込みや、将来の売却額などを解析しています。(挑戦者2021)

     不動産事業者や金融機関は、不動産が本当に価格に見合った価値があるのかどうか、頭を悩ませています。不動産市場は地域によって家賃下落率、空室率、リスクなども違い、また、約15年周期で価格が上下する「不動産サイクル」もあってとても複雑です。

     こうした投資用不動産の評価は、従来は不動産事業者や金融機関の担当者が経験と感覚に頼ってやっていましたが、ゲイトを使えば「数分で誰でもプロ並みの精度の分析」ができるようになります。例えば、東京都内の不動産について、 新型コロナウイルス感染拡大前後で資産価値が「落ちやすい駅」や「落ちにくい駅」をランキングすることもできます。

     不動産業界がこうしたデータの重要性に気付いたのが数年前。しかし、当社はリーマン・ショック(08年)後の不動産価格の底から現在までのデータを収集しており、こうした膨大なビッグデータを基にして将来の収益見込みから投資対象物件の現在の価値を算出する「収益還元法」によって評価できるのが強みです。

     ゲイトは現在、金融機関や不動産事業者向けに定額課金制で提供しており、約150社に導入してもらっています。

    顧客の一言が変えた

     高校3年間はラグビー漬けで大学受験に失敗し、住み込みの新聞配達員も2年間経験しました。ネクタイを付ける仕事がしたいと、1994年に投資用不動産販売会社に入り、1日に400件ほどの電話営業が仕事でした。相手から怒鳴られるような毎日でしたが、楽しくやっていました。

     しかし、ある時、電話口で「あなた、こんな仕事をして恥ずかしくないの」と言われ、「私を信じて買ってください」と頼み込む営業しかできていないのではないかと感じました。米国の不動産業界を調べてみると、データを活用するテクノロジーのブームが起きていることに気付きました。

     日本にもいずれ不動産の価値をデータで評価する時代が来ると考え、05年に知人と作った中古不動産販売会社でデータの収集を始めました。このデータを本格的に活用しようと、早稲田大学大学院で不動産金融工学も学び、14年に当社を設立。ゲイトは15年から作り始めて、約2年後に完成しました。

     ゲイトにはこれまで6億円を投資しています。さらなる事業拡大を目指し、テクノロジーと不動産の両方が分かる人材も社内で育てています。


    企業概要

    事業内容:不動産取引の意思決定を支える情報インフラの提供、不動産・資産運用のコンサルティング業務

    本社所在地:東京都渋谷区

    設立:2014年2月

    資本金:4億6704万円(資本準備金含む)

    従業員数:23人


     ■人物略歴

    まきぐち・しげのり

     1971年新潟市生まれ。県立新潟高校を卒業後、94年に投資用不動産販売会社に入社。2000年にKPMGコンサルティング(現プライスウォーターハウスクーパース)へ転職。05年に立教大学大学院でMBA(経営学修士)を取得し、トーマツコンサルティング(現デロイトトーマツコンサルティング)へ。12年には早稲田大学大学院で不動産金融工学などを学んで修士課程修了。14年にリーウェイズを設立し、代表取締役CEO(最高経営責任者)。一般社団法人不動産テック協会代表理事。49歳。

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