テクノロジー挑戦者2021

大人が学び続けられる”生放送コミュニティー”を作ったワケ 森健志郎 Schoo社長

    撮影 武市公孝
    撮影 武市公孝

    森健志郎 Schoo社長 オンラインで仲間と学習

     社会人になっても学び続けるのは、時間やお金の確保だけでなく、何より学ぶ意欲を保ち続けることが難しい。そうした社会人に向け、オンラインで専門家の授業をライブ配信するのがSchoo(スクー)だ。

    (聞き手=藤枝克治・本誌編集長、構成=和田肇・編集部)

    スマートフォンでもライブの授業に参加できる Schoo提供
    スマートフォンでもライブの授業に参加できる Schoo提供

     社会人向けの動画学習サービスを提供しています。英語力向上やプログラミングなどから一般教養まで、幅広い分野をインターネットのライブ配信“生放送”を通じて学ぶことができます。大学教授などの専門家や漫画家らその道のプロが講師となり、保存されている過去のライブ配信授業(1本1時間)は6500本以上。月額980円の会員になれば自由に視聴できます。(挑戦者2021)

     授業は講師が一方的に話すのではなく、チャット(メッセージを複数者がリアルタイムで送信)機能が付いているので、講師と視聴者、あるいは視聴者同士が双方向の会話をしながら授業を進めていくのが基本。登録会員数は累計で約61万人にのぼります。

     授業は基本的に毎日、平日および土日の午後8~10時で、1時間に1コマずつ。大半のライブ配信授業は、実名登録をすれば無料で視聴できます。視聴者数は数百人規模の授業が大半ですが、多い授業では数千人にもなります。視聴者の年齢層は30~40代が最も多く、人気のある講座は商談術やブランド戦略入門といったビジネススキル関係です。

     当社のサービスで重要なのは、同じ悩みを抱えていたり、同じことを学びたいと思っている人が、たくさんいることを実感できる点。一人で本を手に取ってみても、学び続けるモチベーションはなかなか保てません。仲間と一緒に学ぶことで、悩んでいるのは自分だけではないと仲間に肯定してもらえることが、すごく大事だと思っています。

     法人向けサービスとして社員研修などに活用することもでき、これまで使ってもらった企業数は約1700社以上。特に昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大により、法人向けは単月の新規受注数でコロナ前に比べて約5倍に伸びました。

    食べる物にも事欠き

     大学を卒業後、2009年にリクルートに就職したのですが、講師が講義をする社内研修がつまらなく感じました。自分だったらもっと面白い講義をたくさんの人に見せられる、と考えて11年に退職。1人で現在の会社を立ち上げ、オンライン配信のビジネスをしようと、システムは友人に作ってもらいました。

     しかし、最初の1~2年は無料でサービスを提供していたので、ほとんど稼ぎがなく、食べる物がなくてあめ玉で3日間過ごしたり、視聴者から食べ物を送ってもらったりする生活。ライブ配信事業で成功している他社もない厳しい状況でしたが、ベンチャーキャピタルなどを回る中で、「将来を考えればオンライン学習サービスもビジネスとしてあり得る」と理解してくれた人がわずかにいて、当社に投資してもらいました。

     視聴者が次第に増えていくと、講師が集まって授業の数が増え、さらに視聴者も集まるというサイクルができ、会社が軌道に乗っていきました。コロナ禍の今でこそ、オンライン学習に肯定的な人は増えましたが、世の中が変わる前にあきらめずビジネスとしてやってこれたことが重要だと思っています。

     今後は、大学や専門学校のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の支援のほか、離島なども含めた地方創生にも取り組んでいきたいと考えています。


    企業概要

    事業内容:オンライン学習サービス

    本社所在地:東京都渋谷区

    設立:2011年10月

    資本金:8億1300万円(資本準備金含む)

    従業員数:70人


     ■人物略歴

    もり・けんしろう

     1986年大阪府生まれ。近畿大学経営学部卒業後、2009年にリクルート入社。住宅関係の広告営業や企画制作を担当。同社退職後、11年10月にSchoo(スク―)を設立、同社社長。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。34歳。

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