経済・企業注目の特集

総人口3000万人台の予測も出る。国内消費市場は大縮小=和田 肇・編集部

    人口と経済の大縮小時代が訪れる
    人口と経済の大縮小時代が訪れる

    超高齢化の厳しい近未来 人口増でも消費激減の東京都=和田肇

     国立社会保障・人口問題研究所(以下人口問題研究所)は、過去14回にわたり、日本の将来人口の推計結果を公表している。最新の推計結果は、2017年4月の「日本の将来推計人口(2017年推計)」。推計期間は15年から65年までで、参考として、66~2115年までの予測も公表している。(人口の経済学 特集はこちら)

     それによると、日本の総人口は、15年の1億2709万人から、65年には8808万人となり(出生中位・死亡中位ケース、以下同)、2115年には5055万人に減少する(72ページ図1)。出生低位(合計特殊出生率1・25)・死亡中位ケースでは、2115年に3876万人に減少するとしている。これらの推計には、日本に定住する外国人人口も一定数盛り込んでいる。

     多くの先進国が人口減少トレンドにあることは知られているが、人口問題研究所の岩澤美帆部長は、「日本の人口の減り方はかなり大きい」と語る。

    「超」少子化・高齢化

     日本の人口は、明治維新時(1868年)は約3380万人、終戦時(1945年)は7199万人だった。

     人口経済学が専門の加藤久和明治大学教授は「おそらく日本の人口は100年後には現在の3分の1程度になるのではないか」と厳しい見方をした上で、「同じ3000万人台でも明治維新の頃は若い世代が人口の多くを占めていた。これから訪れる人口減少は、かつてない少子高齢化だ」と指摘する。

     人口問題研究所の推計では、65歳以上の高齢者人口は、15年の3386万人(総人口比26・6%)から、65年に3381万人(同38・4%)、2115年に1943万人(38・4%)に推移する(図2)。絶対数のピークは「第2次ベビーブーム世代」が老年期に入る42年で3935万人。2115年の総人口5055万人のうち、65歳以上が1943万人という構図だ。

     0~14歳の若年人口は、1980年代の約2700万人から、15年1595万人に減少しているが、65年には898万人、2115年は520万人(10・3%)に減少する。出生低位ケースでは2115年326万人となる見込みだ。

     15~64歳の「生産年齢人口」は、15年の7728万人(60・8%)から、65年に4529万人(51・4%)、2115年には2592万人(51・3%)に減少する。

    人口予測は要注意

     人口問題研究所の「日本の将来推計人口」は、(1)「出生高位」(65年時点の合計特殊出生率1・65)(2)「出生中位」(同1・44)(3)「出生低位」(1・25)の三つのシナリオを、それぞれ「死亡高位」(65年時点平均寿命が男性83・83年、女性90・21年)、「死亡中位」(同男性84・95年、女性91・35年)、「死亡低位」(男性86・05年、女性92・48年)と組み合わせたものだ。

     このため、推計結果は組み合わせケースによって大きく異なる。例えば、合計特殊出生率が最も高い「出生高位」と平均寿命が最も長い「死亡低位」を組み合わせた推計では、66年の総人口は9578万人、2115年は6683万人となり、他のケースより1000万~3000万人多い推計となる。

     前述の「出生高位」の合計特殊出生率は1・65だが、関係者によると「かなり高めの数字で現実的ではない」との見方もある。

    国内消費は121兆円に

     日本の人口は今後、急速に減少し、経済に大きな影響を与えることは間違いなさそうだ。表は、人口問題研究所、中小企業基盤整備機構資料を基に、15年と50年(推計)の都道府県別の国内消費市場規模と人口推移をまとめたものである。人口問題研究所の都道府県別将来推計人口は、45年までしかデータがないので、人口は15年と45年(推計)とした。

     国内消費市場は、15年の158・4兆円から、50年121兆円に減少。特に実店舗購入額は、145・9兆円から64・1兆円に激減する。一方で、インターネット通信販売など電子商取引(EC)を活用した購入額は大きく伸びて、12・4兆円から56・8兆円に拡大する見通しだ。EC購入額は過去の伸び率・増加額をそのまま当てはめて試算したもの。

     総人口は15年の1億2709万人から、45年1億642万人となるが、国内消費市場規模は、実店舗購入に限れば81兆円の減少となる。実店舗購入額の減少は、デジタル化の進展を背景とした、ECの急拡大が影響していると推測されるが、人口減少、少子高齢化の影響もあると思われる。

     個別にみれば、消費額が最も大きく落ち込むのが東京都(8兆6991億円減)。これに神奈川県(5兆8754億円)、大阪府(5兆6898億円)と続く。大都市部の消費額減少幅が大きいことがわかる。ただし、人口動態と合わせて見ると、最も消費額が減少する東京都は、9万人増える推計になっている。神奈川県(81万人減)や大阪府(150万人減)と比べると異質だ。人口減少だけでなく、高齢化が消費に影響していると推測される。

     前出の加藤教授は「若者層の人口がより多ければ、若者による多様性が広がり、それは市場創出、市場拡大につながる。反対に高齢者の市場は画一的で拡大しにくい」と指摘する。「少子高齢化は経済に強い負のスパイラルをかけることになる」と、警鐘を鳴らす。

    (和田肇・編集部)

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