国際・政治

テスラが「大衆車」? ロンドン在住筆者のEVリポート=酒井元実

    テスラ車が路上駐車しているのはもはや日常の風景だ
    テスラ車が路上駐車しているのはもはや日常の風景だ

    EV都市 ロンドンはテスラも大衆車 名物「2階建てバス」も変化=酒井元実

     1分に1台以上──。筆者が見かけた街中を走る電気自動車(EV)の数だ。場所は筆者の自宅から徒歩圏内の英国ロンドン西郊外の国道沿いにある米テスラのショールームが面する大きなロータリーで、どれだけEVが走っているか試しに観察してみたのだ。2021年12月の平日、ランチタイム後のひと時という閑散とした時間だったが、かなり高い確率でEVが走っていることに改めて驚いた。英国では、30年のガソリン、ディーゼル車の新車販売終了がすでに決まっており、急速にEV化が進められている。(EV&電池 特集はこちら)

     ショールームから少し離れ周辺の街路を歩くと、目に入ってくるのがそこかしこに路上駐車されているテスラ車だ。「こんな高価なものを路駐して大丈夫?」と声を掛けてみると、「ベンツだってポルシェだって止めてあるのに、テスラだけ特別と思う方がおかしい」と笑われてしまった。

     もともと独ダイムラー傘下のブランドであるメルセデス・ベンツやポルシェ、BMWなどドイツ車とともに、英国製のジャガーやランドローバー(いずれもインド自動車大手タタ・モーターズ傘下)などをよく見かける地域ということもあり、テスラもそういった車に埋もれる一台に過ぎず、もはや特別感はない。

     そして、その日常にはテスラ以外のEVも見つけることができる。英国ではEVのナンバープレート左端には緑色のマークがついている。強制ではないため、つけていない車もあるが、それを目印に住宅街の街路を歩いてみると、BMW「i3」、そして韓国のキア製EVなどを多く発見することができた。

     英国で最初に一般向け量産EVとして登場したのは日産自動車のリーフだ。イングランド北部の英国日産(NMUK)工場での組み立てを実施するなど、過去10年以上にわたり、英国のEV市場をリードしてきた。住宅地でのランドリー店の集荷・配達などに使用されている車には日産の商用車「eーNV200」が使用されている。

    中国EV大手のBYDが手掛けるEVバス 筆者撮影
    中国EV大手のBYDが手掛けるEVバス 筆者撮影

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     先日利用した近所のレンタカー店でも「EVがありますが、乗りませんか」と店員に声を掛けられ、EVが急速に浸透しつつあることを実感した。

     車の所有には維持費や保険料などコストがかかる上、車で日中にロンドン市内中心部に乗り入れると支払わなければならない「渋滞税」と呼ばれる税金もかかる。そのため、筆者は車は持たずに、郊外に出掛ける際などは近所のレンタカー店で車を借りるようにしている。EVに乗り慣れていない筆者は提案を断ったが、店員は「日帰りくらいなら航続距離からして十分足りる」など熱心に説明してくれた。

     ロンドンの街の象徴として知られる「赤い2階建てバス」にもEVバスが増えている。現在の主流はハイブリッド車だが、EVも見かけるようになった。EVバスの車台駆動部分は中国EV大手のBYDが製作。中国ではダイムラーとEVの生産を進めるBYDがロンドンのバスのEV転換に向けて多大な貢献をしている。

    (酒井元実・在英ジャーナリスト)

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