【最終回】3・11から学ぶ災害対策=長嶋修
自然災害列島でできる対策を/133
近年、日本全国各地で発生する土砂災害や水害、地震により、多くの被害に遭ってきたが、今後もこうしたことは起こり続けるだろう。2011年3月11日の東日本大震災から11年が経過したこのタイミングで、改めて自身にできる災害対策の一部をご紹介したい。(不動産コンサル・長嶋修の一棟両断)
簡単に地震・災害の可能性を知るには、自治体が発行しているハザードマップがおすすめだ。国土交通省の「わがまちハザードマップ」は、各自治体のハザードマップがまとめられており、どのような災害の被害を受ける可能性があるかを考えるのに役立つ。
ただ、ハザードマップを見て「安全」と判断するのは早計だ。ハザードマップは個別の住宅ごとに安全かどうかを評価する目的で作成されたものではなく、地域の大まかな傾向を示したものだからだ。また、想定された地震や地図の誤差などもあることに留意したい。
液状化は、埋め立て地や池・沼だった場所で、盛り土の崩落は谷あいを埋めた造成地で、それぞれ起こりやすい。つまり、被災の程度はその土地の成り立ちによって大きな差がある。古くから住宅街として使われている土地は、高台など比較的安全な場所が多い一方、近年まで水田や山林であった場所は、被害を受けやすい。
そうした土地の成り立ちは、古い地図を見れば昔の土地の様子が分かる。ウェブ上で公開されている「今昔マップ」といったサイトは、今の地図と見比べながら、年代も選べて過去の様子をチェックできる。
実際に歩いてみる
実際に、宅地周辺を歩いて地面や擁壁などを見ることも防災につながる。地盤が沈下し続けているような場所は、地面にひび割れや陥没が生じていることもある。天気の良い日だけでなく、大雨の日に下見をすると、水はけや雨水が集まってくる場所かどうかが分かる。
筆者が設立した個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」は、自身でできる「地盤のチェックリスト」を作成し、ホームページで公開している。我が家の敷地、また購入を検討している土地のチェックにぜひ活用してほしい。
さて、長らく続けてきたこの連載も今回で最後となる。近刊『バブル再び』(小学館新書)でも示したとおり、これから数年は社会の大激動期に入る。引き続き、動画サイトのユーチューブで発信を続けるので、どうぞよろしくお願いします。長らくお世話になり、どうもありがとうございました。ご武運を!
■人物略歴
ながしま・おさむ
1967年生まれ。広告代理店、不動産会社を経て、99年個人向け不動産コンサルティング会社「さくら事務所」設立
「一棟両断」は今回で終了します。