経済・企業 EV・日本の大逆襲
《EV・日本の大逆襲》ステランティス:EVとPHVを19車種投入へ
仏伊独米の14ブランドを有するステランティス。日本では既にEV4車種、PHV6車種を販売しており、年内にEV2車種、PHV7車種を追加投入する予定だ。
ステランティスは、世界4位の自動車メーカーだ。昨年1月16日、フランスのグループPSAとイタリアのフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が合併して誕生した。傘下には、仏プジョー、シトロエン、DSオートモビル、伊フィアット、アルファロメオ、マセラティ、米ジープ、クライスラー、独オペルなど14ブランドを有する。昨年7月に蘭アムステルダムでグループの電動化戦略を発表。2025年までに電動化とソフトに300億ユーロを投資し、30年までに欧州の販売の7割、米国では4割をEVとPHVにする計画だ。(EV・日本の大逆襲 特集はこちら)
また、EV用に四つのプラットフォームを用意している。航続距離500キロの「スモール」、同700キロの「ミディアム」、同800キロの「ラージ」と「フレーム」(トラック用)だ。
本国での合併を受け、日本法人もこの3月「ステランティスジャパン」として、活動を開始した。同社が扱うフランス、イタリア車は、デザイン・走りに軽快感があり、かつ、ドイツ車に比べ価格が手ごろなことから、日本での人気が急速に高まっている。日本自動車輸入組合(JAIA)によると、21年年間のブランド別販売台数は、市場全体の伸びが8%の中、プジョーが前年比12%増、シトロエンは同17%、フィアットは同19%と台数を伸ばした。米ジープはアウトドア志向の高まりもあり、5%増の1万4294台と総合順位で9位につけた。
ステランティスは日本市場においても電動化で攻勢に出ている。年内にEVとPHVの投入車種を従来の10車種(EV4車種、PHV6車種)から、19車種(EV6車種、PHV13車種)に増やす予定だ。
「ルパン三世」のEVも
ステランティスのEVの特徴は、新型プラットフォームの採用により、同一車種でEVか内燃機関を選択できることだ。プジョーの208、2008、DSのDS3、シトロエンのC4は居住性、荷室を犠牲にすることなく、EVモデルを選べる。
イタリア車では、「ルパン三世の車」として人気の高い小型車フィアット500のEVを6月25日から発売する。電池の容量を42キロワット時と抑えることで価格はオープンモデルでも495万円に抑えている。アルファロメオは初のPHVモデルであるSUVトナーレを発売する。米ジープもグランドチェロキーとラングラーでPHVモデルを投入し、電動車は3車種になる。
ステランティスジャパンのポンタス・ヘグストロム社長によると、日本では六つのフランチャイズで107のパートナー企業と337カ所のショールームを展開しており、「年末には傘下のディーラーの85%が、EV用の充電器を装備する」という。どのブランドのEV、PHVを持っていても、ステランティスグループのディーラーで充電可能になる。「インポーターで最大の充電ネットワークを持つようになる。どのブランドを所有していても、EV生活を楽しむことができる」と話している。