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次は皇位継承の安定策だ=小林よしのり

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 新元号が「令和」と発表され、天皇陛下のご譲位まではあと半月となった。しかし、この譲位はすんなり決まったわけではない。安倍首相やその周囲の「保守」を自称する者たちは、明治に作られた制度に過ぎない「終身在位」に固執し、陛下のご意向に逆らい、決して退位させまいと画策していたのだ。

 その動きを察知したわしは、主宰する「ゴー宣道場」で神道学者・高森明勅氏による、退位を可能にする皇室典範改正案を発表して、民進党(当時)と連携。民進党は与党の先手を取って国会の議論をリードし、かろうじて「特措法」という形で陛下の退位が実現するように準備したのである。

 この「特措法」の「付帯決議」は女性宮家の創設など皇位継承の安定策を、代替わり後に速やかに検討するよう政府に求めている。

 これに関して安倍首相は、戦後に皇籍を離れた「旧宮家」を復活させる案について「(皇籍離脱は)70年以上前の出来事で、皇籍を離脱された方々は民間人として生活を営んでいる」として「全く考えていない」と断言した。

 いわゆる保守派は女性宮家創設に大反対し、旧宮家復活が唯一の策だと唱え、首相自身も強硬にそう主張していた。だがおそらく調査が行われ、皇族になる意思を持つ旧宮家の男系子孫など一人もいないと判明し、首相もこれは不可能だと認めるしかなくなったのだろう。

 皇位は男系継承限定というのも、実は明治になって作られた理屈に過ぎない。女性宮家を創設し、男女を問わず皇位に就ける「双系継承」を認めることは伝統に背くことではないし、そうしない限り、皇位継承は必ず行き詰まる。

 新天皇即位の後には速やかに検討を開始し、直ちに結論を出さなければならない。もう時間はないのだ。

(小林よしのり・漫画家)

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