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国際・政治闘論席

「中国化」が進むと言論の自由がなくなる=小林よしのり(漫画家)

撮影 福岡静哉
撮影 福岡静哉

 言論表現の自由は、失われたらもう何が失われているのかも分からない。中国では「天安門事件」はネットで検索しても出てこないから、若者は事件の存在も知らない。

 台湾にも、天安門事件のように若者が知らない「二・二八事件」(1947年、国民党政権が台湾人2万8000人を虐殺した事件)というものがあった。わしは『台湾論』で二・二八事件について詳しく描いたが、これが2001年、北京語に翻訳されて台湾で発売されると大ベストセラーになり、国を二分する大騒動が巻き起こった。

 国民党は、風化していた歴史の真実を若者に知られたのがまずいと、慰安婦問題に関する記述を口実に『台湾論』を焚書(ふんしょ)にして、外交部に圧力をかけ、わしは一時入境禁止にされてしまった。だが台湾人は圧倒的に『台湾論』を支持したのだった。

 6月香港で言論表現の自由を脅かす「逃亡犯条例改正」に反対する200万人のデモが行われ、香港政府は条例改正を廃案にすると発表した。だが中国政府が香港の「中国化」を諦めるはずがなく、今回は成功しても、10年後にはデモも起こるまいと言われる。

 どの時点で戦うかが問題であって、香港はもう遅い。1国2制度を信じて中国返還を受け入れた瞬間に終わったのだ。わしは返還前には7、8回も行くほど気に入っていた香港だが、返還後は二度と行かないことに決めた。

 次に危ないのが台湾で、すでにマスコミ、教育、資本が中国に支配されている。中国市場に頼る経済の下で、果たしていつまで言論表現の自由を守れるだろうか?

 日本にもすでに特定秘密保護法があり、共謀罪がある。すでに我々には隠された真実がある。

 言論表現の自由は、失われたら、もう失われたことが分からないのだ。

(小林よしのり・漫画家)


 本欄は、池谷裕二(脳研究者)、片山杜秀(評論家)、小林よしのり(漫画家)、古賀茂明(元経済産業省官僚)の4氏が交代で執筆します。

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