週刊エコノミスト Onlineグラフの声を聞く

米財政赤字に追随する金の上昇=市岡繁男

 トランプ米大統領は2016年の大統領選時、公約として財政赤字の解消を掲げていた。しかし実際には17年1月以降の34カ月間で、財政赤字は累計で2・4兆ドルも拡大している。月次の収支(12カ月移動平均)でみると、就任時に490億ドルの赤字だったのが、直近は850億ドルと大幅に悪化した。

 内訳をみると、歳出が年率5・7%も増加しているのに対し、歳入は年率2・3%しか増えていない。これは国防費の増大と大規模減税を行ったからで、財政赤字が増えるのは当然だ。もっとも、その景気刺激策のおかげで株価が堅調に推移してきた(年率11・8%上昇)とも言えよう。

(出所)米財務省
(出所)米財務省

 では歴代大統領の任期中に、財政収支はどのように推移してきたか(図1)。一目瞭然なのは、戦争や金融危機時には財政赤字が拡大することだ。例えばブッシュ(子)政権1期目では月次の収支は4年間で540億ドルも悪化したが、これはイラク戦争の影響だ。また2期目は金融危機に直面し、さらに230億ドルも赤字が拡大した。それを後継のオバマ政権が8年かけて改善させたのだ。

(出所)米財務省、米議会予算局、ブルームバーグ
(出所)米財務省、米議会予算局、ブルームバーグ

 ところがトランプ政権はそんな努力を無にしてしまった。米議会予算局は、単年度の財政赤字が28年には1兆5000億ドルに達すると警告するが、財政赤字に追随する形で金が上昇する様は不気味だ(図2)。

(市岡繁男・相場研究家)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事