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男系天皇継承は男尊女卑の悪習である=小林よしのり(漫画家)

    武市公孝撮影
    武市公孝撮影

     愛子さまを次の天皇にという大多数の国民の意向に抵抗し、皇統は男系男子のみが伝統と主張する者たちは最近、皇位継承順位を変えたら秋篠宮殿下が「廃嫡(はいちゃく)」になると言い出した。だが、愛子さまが「皇太子」になっても、秋篠宮さまは継承順位が2位になるだけで、「廃嫡された皇族」などとは言わない。「廃嫡」とは旧民法で推定相続人の家督相続権が失われることを指し、皇室用語に「廃嫡」などない。

     そもそも秋篠宮殿下の「皇嗣(こうし)」という立場は「皇太子」とは全く違う。皇太子は将来の天皇であることが確定した地位だが、皇嗣は単に現時点での皇位継承順位が1位というだけだ。

     例えば昭和天皇には4人女子が続いたため、その間は弟宮が皇嗣だったが、昭和8(1933)年に上皇陛下がお生まれになると、その時点で弟宮は皇嗣ではなくなった。皇嗣とは流動的な立場で、後に皇嗣でなくなることは当たり前にあり、それを廃嫡などとは言わない。これは何がなんでも秋篠宮さまから悠仁さまに継承したい男系固執派が持ち込んだ用語である。

     同様に、皇太子となることを宣明する「立太子の礼」はあっても、「立皇嗣の礼」が行われたことは史上一度もない。それなのに政府は2020年、ありえない「立皇嗣の礼」をやろうとしている。これは、暫定的な皇位継承順1位にすぎない秋篠宮殿下が次の天皇に「確定」したかのごとく、国民に錯覚させようという策略である。

     皇室典範を改正して愛子さまを皇太子にすれば、こんな珍儀礼を捻(ひね)り出して国民を騙(だま)す必要はないのだ。男系継承は側室がなければ維持できない。男系継承は伝統ではなく、側室とセットで伝承された男尊女卑の因習である。伝統という言葉には人を思考停止させる魔術性がある。これに惑わされてはいけない。

    (小林よしのり・漫画家)


     本欄は、池谷裕二(脳研究者)、片山杜秀(評論家)、小林よしのり(漫画家)、古賀茂明(元経済産業省官僚)の4氏が交代で執筆します。

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