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女性・女系天皇議論の先送りは「皇統の破壊行為」だ=小林よしのり(漫画家)

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

 安定的な皇位継承策に関して、男系男子継承に固執する論者が提案してきた唯一のプランは、戦後に皇籍を離脱した旧宮家の子孫である一般国民男子を皇族にするというものだった。菅義偉官房長官はこれについては当事者の意思を確認しておらず、今後もその予定はないと明言。男系固執の唯一のプランは、完全に否定された。

 そうなると女性・女系天皇を認め、愛子さまを速やかに皇太子にして、眞子さま、佳子さまの女性宮家を創設するしかない。必然的にこの話は終わっているのであり、ほかに解答はない。

 2月16日読売新聞は1面トップで、政府は女性・女系天皇の議論をしない方針だと報じたが、菅官房長官は19日、国会答弁でこの報道を否定した。

 懸念するのは政府がこの問題を「先送り」することだ。女性皇族が次々に結婚されて皇室を離れれば、次世代の皇族は悠仁さまだけになり、そこに男子を生むことを絶対条件とされた女性が嫁ぎ、確実に男子を産まない限り、皇統は断絶することになる。「男を産む機械」を引き受ける女性などいないだろう。

 現在は秋篠宮殿下が「皇嗣」だが、皇嗣と皇太子は全然違う。皇太子は天皇の子で、将来の天皇であることが確定した地位だが、皇嗣は単にその時点で皇位継承順位1位という暫定的な立場でしかない。

 政府は4月に「立皇嗣の礼」なるものを行う。だが、そもそも皇太子になったことを宣明する「立太子の礼」はあるが、「立皇嗣の礼」などというものは歴史上行われたことのない儀式である。こんなものに惑わされてはいけない。

 皇統の男系固執は終了した。いま必要なのは皇太子であり、皇太子になれるのは愛子さましかいない。これを先送りにすることは決して許されない。

(小林よしのり・漫画家)


 本欄は、池谷裕二(脳研究者)、片山杜秀(評論家)、小林よしのり(漫画家)、古賀茂明(元経済産業省官僚)の4氏が交代で執筆します。

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